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ラビリンス
主人公の頑張りと、まるで才能のような幸せをもたらす性格。
物語の中へ私も入り込み、心を揺らし喜んだり泣いたり忙しい。
きっと私もこうなれるし、世界は優しいんだ。
期待して主人公のように振る舞っても、自己満足で終わる。
周りは気づきもしない。
私があなた達を救えるかもしれないのに。
世界は無視する。
私が人を惹きつけるものを一つも持っていないから。
美貌も頭の良さもずば抜けた身体能力も持っていないから。
皆、私の良さに気づかない。
世界でひとりぼっち。
街中で突然踊り出したら奇異な目で見られるだけ。
そんな法則も溶ける都会。
そんな法律がある田舎。
じゃあどこで踊ればいいの。
迷い続けたままこの生命は終わる。
誰か一人、私の目を見てくれるだけでいいのに。
私の目の中に救いを見つけてくれるだけでいいのに。
虚構と現実の境目が分からない。
だからどんどん浮き上がってしまう。
この目は真実が見えない。
皆とは違う方向へどうしても歩いてしまう。
出口を見つけられないままこの生命は終わる。