怪物
最初は小さなキャンディだった。
透明なパラフィンに包まれた赤い粒に彼女は歓喜し僕にとびきりの笑顔を見せてくれた。
僕は嬉しくなって次の日も彼女にキャンディをあげた。
彼女は変わらず喜んでくれた。
次の日もその次の日もキャンディをあげた。
そのうち彼女はカバンの中にキャンディを入れて食べなくなった。
僕はアイスクリームをあげた。
彼女はもっと喜んだ。
ひとくち舐めると幸せそうに目を閉じた。
僕はキャンディの時よりもっと嬉しくなって次の日もアイスクリームをあげた。
彼女は変わらず喜んでくれた。
次の日もその次の日もアイスクリームをあげた。
そのうち彼女は半分も食べなくなり残りを僕によこした。
僕はリボンをあげた。
彼女は感激して言葉を失った。
きれいな髪に結えると鏡を見て微笑んだ。
僕はアイスクリームの時より胸が高鳴り興奮して次の日もリボンをあげた。
彼女は変わらず感激してくれた。
次の日もその次の日もリボンをあげた。
そのうち彼女はリボンを髪に結わえなくなり訳を訊くと子供っぽいと言われた。
僕はイヤリングをあげた。
僕は口紅をあげた。
僕はカバンをあげた。
僕は服を宝石を現金をあげた。
彼女は喜んで感激しキスをしてくれて抱かせてくれた。
僕は天にも昇る気持ちになりどんどんあげた。
そのうち彼女は何にも反応をしめさなくなった。
僕は悲しくなった。
どうしてか訊いたら僕からはもう何も貰いたくないと言われた。
僕は新しい男をあげた。
その男がキャンディを彼女にあげると彼女は新しい男にとびきりの笑顔を見せていた。
彼女の久しぶりに見れた心からの笑顔に僕は苦しかったけれどそれと同じくらいに嬉しくなってしまった。
僕はまだまだ彼女にあげつづけたい。