3:誰のためにつくるのか①
こちらはコンセプトの話。
サイト作成者側の論理と推論が展開されるので、サイトにご興味を持っていただいても、利用される方からしたらあまり重要ではないかもしれません。
理屈をこねくり回しているので、読み飛ばしていただいても大丈夫です。
目的と手段が決まったので、お次はコンセプトです。
その中で一番と言っても良いほど大事なのが「どんな人のために作るのか」ということ。いわゆる「ペルソナ」です。マーケテイングではSTP分析とも言いますね。
レビューサイトなんかで難しいのは、このペルソナを2つ考えなければいけないこと。お客様が二種類いるのです。
つまり「レビューを読む人」と「レビューを書く人」。
「なろう」の場合は「作品を書く人」と「作品を読む人」ですね
このサイトは立ち上げ段階なので、まずはレビューがないと話にならない。
レビューのないレビューサイトなんて、なんの禅問答ですか、という話です。
少し逸れますが、これをうまくやったのは「食べログ」でしょう。
「ホットペッパー」や「ぐるなび」などに比べて後発ながら、レビュアーを大事にすることでのし上がりました。
その背景には「投稿のしやすさ」がありました。
そんな訳で最初期は「レビューを書く人」に焦点が定まるのですが、ここも詳しく深堀りをしないといけません。
そもそもレビューを書く人は誰にむけてレビューを書くのでしょう。
大きく3つにジャンル分けできると思っています。
すなわち
①作者にむけて
②自分にむけて
③他人にむけて
の3つです。
個別に考えをすすめていきます。
「①作者にむけて」の人は、感想を作者に伝えたいとかですね。ただ残念ながら、このレビューサイトには合わないでしょう。
作者に感動を伝えたいなら、外部サイトに書く意味はありません。直接書いた方が、遥かに有意義です。
ということで優先度的には3つの中で一番最後になります。
冷たく聞こえるかもしれませんが、「選択と集中」は大事です。
ここを間違うと、なんのためのサイトか分からなくなってしまいますから。
次に「②自分にむけて」ですが、自分のためにレビューを書くとはどういうことでしょうか
想定されるのは
(1)読書の記録・管理として
(2)自己表現の一環として
でしょうか。
「(1)読書の記録・管理として」は、かなり相性が良いですね。というのも、こうした目的で書かれたレビューは現状、各サイトごと、もしくは個人的なメモなんかで管理されているかと思いますが、そこに横断的なレビューサイトの需要があるからです。このサイトですべてのお気に入り作品の更新を一元的に確認できるようにすれば、「レビューサイト→小説サイト」の順番で訪問する流れを作れるかもしれません。
「(2)自己表現の一環として」は、文芸評論に近いですね。ただ、それは小説サイトでも可能です。あえて他サイトを使う利点を挙げるとすれば、先程の逆で「作者に見られにくい」ということがあるかもしれません。例えば批判的な内容を直接書くのは憚られますよね。外部サイトなら、より正直な感想を書けることになりそうです。でも、ここに焦点を当ててしまうと罵詈雑言が飛び交うサイトにもなりかねません。調整が必要なポイントです。
そして最後に「③他人にむけて」。
これはその時々によって目的が変わると思います。
(1)面白い作品を紹介するため
(2)自作の宣伝のため
「(1)面白い作品を紹介するため」については、良い作品を求めている人に良い作品を紹介したい、という単純な話で良いでしょう。もちろん、逆に地雷を踏まないように、という親切心だってあるかもしれません。
ただ結局のところは、「より多くの人に作品を紹介する」に集約されるかと思います。
「(2)自作の宣伝として」は、いわゆる自薦ですね。この取扱は難しいのですが、これは後ほどお話しする「レビューを読む人」の問題に関わってきます
大枠で分けると上記のようになるのですが、注意としてはここは0:100(ぜろひゃく)の分け方をする必要はありません。
自薦する人が、他の作品を紹介することなんて珍しくありません。
このように考えると、レビューサイトの性質と相性が良く、かつ広範な対象となるのは②と③を併せた層です。
「読書管理として利用しつつ、他人に向けて書く人」と言ったところでしょうか。
更に詰めていくと、年齢や、どれくらいの頻度で作品を読むか、となっていくのですが、長くなるので割愛します。
こうしたターゲット選定が何故大事かというと、例えば「★5評価」をどうするか、といった問題に関わるからです。
自分で整理するには「★評価」はとても便利です。管理した時に、一目瞭然です。
一方で「それぞれの読者にあった作品を紹介する」上では不足があります。ホラー嫌いな人にとって、★5だけの評価は役にたちません。指標としての重要度は低めになります。
これについては、もっと深く掘り下げないといけないので、別の機会に述べます。
また、逆に他人に読んでもらうことに重きを置く方にとっては、「レビュー自体への評価」も気になるところでしょう。「誰かに喜んでもらえた」という経験は大きなモチベーションです。そう考えると、「作品が★5」よりも「レビューが★5」を可視化できた方が、案外喜ばれる可能性もあります。
管理したい人からすれば余計な機能かもしれませんが……。
ターゲット選定は、このように時に相反する指標の優先順位を決めていくために大事になるのです。
更に詰めていくために、次回は「レビューを見る人」の中で優先すべきターゲットについて考えます。
エッセイカテゴリで日間1位のようです。恐縮です……
ありがとうございます。