ー新世界側からー 謎の島
私はベオ・ランバルク、ランバルク家の次期跡取りとなる長男息子だ。ランバルク家は代々貿易商をやってきた。ご先祖様はこの辺で金山を見つけてその金で商人を始めたそうだ。私が今やっている商売は西のバミューカン公爵領で採れた小麦を我らシューメン伯爵領に運び、シューメン伯爵領の沖合で獲れたサンゴをバミューカン公爵領に運ぶというものだ。この仕事は父上の代からはじめたものだがそのおかげで、今までとは比べものにならないほど利益を得ることができた。なにせバミューカン家は家訓が「人を従えるにはまず見た目から」というものでそのせいか現当主のラミュ・バミューカン様は大のサンゴ好きで、破格でいつも買ってくれるのだ。さらにラミュ様は現皇帝の弟の長男でブランクブルグ王国の皇位継承権第二位なのだ。そして現皇帝の長男レイ皇子が5年ほど前にお倒れになってからというもの次期皇帝となられる可能性が非常に高いため周りの諸侯達から少しでもお目通りをと今、金が集中しているのだ。こんなチャンスを逃す手はないと思った私はより多くのサンゴを得るため漁師を束ねる魚主のところに向かっているとこなのだ。ところが街の様子が何かおかしい。疑問に思いながらも漁業協会の建物入るとすぐさま魚主が話しかけてきた。
「旦那、早く座ってください。大きな事件が起こったんです。
「なんだどうしたというのだ?何かあったのか?」
「へい、昨日は天気も良く波もよかったのでより良いサンゴを取りにいこうとはりきって出港したんですが、いつもの漁場がいきなり大きな島に変わってたんですよ。」
「何とも奇怪だな。また人魚のしわざか?」
「へい、そうかもしれません。頼む旦那!人魚を退治してくだせぇ。こないだの島の消滅といい人魚が暴れてるとしか思えません。」
「よかろう。シューメン伯爵の許可をいただき私自らが調査してきてやろう。そのかわりに問題が解決したらサンゴの漁獲量を1.5倍にしてもらうぞ。」
シューメン伯爵の許可などとはよくいったものである。実際にはシューメンはランバルク家が支配している。というのもシューメンの産業を全てランバルク家が管理しているためだ。ランバルク家の意向次第でシューメン伯爵などどうとでもなってしまうのである。
「ありがとうございます。旦那。ラミュ様のサンゴ好きの噂は私共に届いております。もし解決した暁には今の倍の漁場団を築いて見せましょう。」
魚主と話をつけた私はシューメン伯爵のもとへと向かった。
次の日、私達は衛兵20人を率いて人魚退治に向かった。シューメンの港を出て30分私達は謎の島へと向かった。