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紫煙
人の死は不可逆である。
そう友は口癖のように言っていた。
私は何を言っているんだと気にしたことがなかったけどこの世界にその友がいないなんて私はどれだけ辛かったのだろうか。
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「あれ?普段タバコ吸ってたっけ?」
ヒカリが大量の洗濯物をカゴに入れベランダにやってくる。
「いや、こっちに来てからは始めてだね。ふと友達を思い出してね。」
線香の変わりと思って。
「へー。タバコって何がいいの?」
ヒカリがワタシの隣にしゃがみこみタバコを取り上げくわえる。
「あ、おい未成年」
ヒカリタバコを吸うと同時に咳き込む。
「うぇー何がいいんだか」
「うん、ワタシもわかんないな」
煙が空高くに上がるのをしばらく二人で見つめた。