>クラスメイト ②
「ねえ、私とヒカリ前に話したことあるの覚えてる?」
校門を出て駅方面へ湖の周りを歩いている時に真剣そうな顔をして声をかけてきた。
しかし、考えても心当たりがなく手をアゴに当てて首を傾げる。
私のわかりやすい仕草をみて彼女は「ははっ」と笑う。
「覚えてないか~まあ入学式の時の話だからね~」
入学式…
あの頃は色々とあって正直記憶がない。
「あの時、すごく悲しそうな…泣きそうな顔をしていたよね」
「そんなこともあったかな」
「それからあなたのことが気になって廊下ですれ違う度に気にしてたんだ。徐々に顔色が良くなって笑うとまではいかないけど泣きそうな顔はしなくなったよね」
「…」
「だから私は貴方を笑わせたい!」
真剣な眼差しでこちらを見てくる。この人は本当に優しい人なんだな。でも…
「あ、大丈夫です。じゃ電車の時間ギリギリだから先にいくね。」
そう言い駆け足で駅に向かった。
「チェッ。そう簡単には行かないか~」
「ただいま~」
家に帰るとどっと疲れが押し寄せて来てリビングのソファーに倒れこむ。
人と話すのは疲れる。
しぱらく横になっていると玄関から扉が開く音がし足音がリビングに近づいてくる。コウ出掛けてたのか。
「あれヒカリ帰ってたの?」
「今日は午前終わりだからね~」
「お疲れですな~」
「お疲れですわ」
コウはソファーに座り私の頭を膝に乗せる。
「おい、やめろ」
「ええじゃないか、ええじゃないか」
頭を撫でるコウの手を弾く。
…コウは何も聞かないんだな。
そのまま二人は日が傾くまで眠った。