逸般人たちはここが異世界だと気づく
そして逃げた先は彼らにとって疑問が生じる風景であった。
「…なぜこうも古い?」
ミンスクが真っ先に首を傾げる。
「確かに…それなのに人も多い」
エジリスも同様に疑問が浮かぶ。
「…今頃こんな古ぼけた町でこんなに人が集まることなどないよな?」
「…これは…僕たち…タイムスリップでもしたかな?」
「そう考えるのが妥当か…でもこの町はしっかりと社会になっている、身分証明書を得よう」
◇ ◇ ◇
身分証明書を得るため役所に向かう道中でミンスクにある疑問が浮かんだ。
「…不自然だ」
「え?」
「あの鍛冶屋をよく見ろ販売してるものがおかしい」
「えっと…?剣に弓…あと盾と…鎧…」
「俺の世界の過去で一般人が武器を取るのはせいぜい狩猟のための弓、あって投げ槍…ましてや鎧なんて使い道といえば観賞用だ」
「…確かに…というと…一般人が武器を取る必要があるってこと?」
「ああ、どうやら俺たちは過去ではなく…別の世界線…それか別世界に飛ばされたことになったらしい…そこら辺の住民でも油断ができなくなるぞ…」
「ふむ…だけど魔法使い…あこがれるな…」
ミンスクは疑問と不安を深めながら、エジリスはのんきな想像をしながら役所へと足を運ぶ。
◇ ◇ ◇
役所…
「営業時間だよな、俺たちの身分証明書を作ってくれ」
「ハイ、こちらに 名前 年齢 職業 出身 を記入してください」
ミンスクは困った、職業以外ならテキトーなこと書いても大丈夫だろう…しかし職業…彼がやってきたことは暗殺…そんなん書けるわけがない。
「エジリス…先頼む…」
エジリスは何の抵抗もなく職業の欄に「エンジニア」と記入…そうだ!俺も同じにすればいい!
「えっと…エンジニアとは…どのような職業でしょうか…?」
問題発生!この世にはエンジニアという概念は無い!
「エンジニアは依頼者のニーズに応じたモノづくりを行う仕事です」
「商業ではなくて?」
「ん~商業の中でのモノづくり専門…て感じですかね」
「なるほど…そんな職業があるとは…」
相手は納得したようだ…ミンスクも便乗して職業にエンジニアと記入した。
「ではあなたたちの能力を見させて頂きます,これも」
能力と聞きミンスクは聞き返す。
「ちょっと待て…それはここに記録が残すのか?」
「えぇ,いざという時参考にします、この町は…あまり治安が良くないのでね」
ミンスクは心の中でうなった…いざという時の邪魔立てがさらに面倒になる…あれを使うか…
ミンスクは左手の義手の人差し指を役所の人に向けた。
「これがエジリスが作った義手だ,なかなかイカすだろ」
「え…えぇ…」
ミンスクはにやりと笑う…
「じゃあ能力をそこに書き込め…ただここにデータは残すな」
「ハイ…」
◇ ◇ ◇
役所を出て…
「全く…君って人は…貴重なデイザーをこんなに早く使うなんて…」
「ここに自分に関する情報をこんなありきたりな所に置くわけにはいかんだろう…」
エジリスの言うデイザーとはミンスクの左人差し指に搭載された薬品弾であり,相手を一次的にどの人の言うことを聞いてしまう効果を持つ,それに効果がある間の記憶は残らない恐ろしい薬品。
当然使われる材料は貴重な物ばかり…もうここで得られるか分からない。
「そういや能力とか言ってたよな,このカードに書いているし見てみようぜ」
「魔法とか…使えるかな…」




