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嘘つきの恋

「人間関係」…とは、出会いと別れの間にいくつものドラマが存在するものだ。

人生をドラマとして捉えるのではなく、人間関係というものをドラマに捉えた方が少し面白くなるものだ。

どのドラマにも最終回があるように、それにもいつかは終わりが来る。

この小説はそれを描いていきます。

最後までお楽しみください。

この世界には色々な仕事がある。

その中の1つである、国守ることが目的である騎士団は特に大変だ。

上層部の度が過ぎる程の苦労はあまり知られていない。


人一倍苦労しているのは多分僕だろう。

僕は騎士団副団長補佐を務めているライア。

少し地味に感じるこの役職…でも

なにが一番苦労するのかって、

僕が補佐をしている副団長についてだ。

副団長のレテアさんは、団長さんの妹さんで、その実力は兄に勝らずとも劣らない。

きっと彼女が本気を出したらと思うと寒気がする。

でもそんな彼女のなにが苦労するのかって_

「ライアー!一緒に町に行こー!」

早速お出ましだ。

「町に行って何をするんですか?」

「えっとねー!まずお兄ちゃんに頼まれた掃除用具を買う!そしてー、」

「そして?」

「カフェ!」

「カフェ好きですねぇ…分かりました。では準備をしてください。」

「はーい!」

副団長には少々幼いところがある。


さて、副団長に腕を引っ張られながら着いた雑貨屋だが、お目当てのものは無いように感じる。

団長は潔癖で、掃除用具は団長が頷くものでなければならないが…

それがないように感じる。

「ライア!ぼーっとしてないで一緒に探して!」

分かりましたと頷き、お目当ての掃除用具を一緒に探す。

ほうきがあったがこれではいけない。

ほうきの柄が傷んでいる。長い間放置されていたか、或いは職人が雑な仕事を働いたかだ。おかげでとても安いが、これでは潔癖性の団長が気分を悪くしてしまう。

もっとまともなほうきを探す。

あっちにない。こっちにない。を繰り返し、

店の奥のほうに行くと、ようやく団長が頷きそうな逸品をレテアさんが見つける。

「やりましたね!レテアさん!」

「えへへ!ありがと!」

彼女は僕に笑顔で応えた。

「さ、早く会計してカフェに向かいましょう!」

「そうだね!」

ここ最近物価が上がって来たが、上物のほうきは一体いくらで買えるのか…

「250Gだよ」

案外安く買えた。

まぁよく考えればほうきごときが高くなるわけがない。

「いつもありがと!おばちゃん!」

「あいよー」

レテアさんによると、いつもここで買い物をしているからか、多少値を引いてくれるらしい。

そんなお店がまだあったとは…。

「さぁさぁ!カフェだよー!」

るんるん気分のレテアさんはスキップでカフェに向かう。

僕は先に買ったほうきを片手に急ぎ足で後を追う。


カフェにつくと、

レテアさんは僕の向かい側の席に座り、お見合い状態になる。

レテアさんは店員さんにケーキと紅茶を頼む。

僕はコーヒーだけを頼むことにした。

何故ならコーヒーがいちばん安いから。

何故安いのをえらんだのかというと、

飲食代はレテアさんが負担するから。

彼女曰く、自分のお金で支払いをしたいかららしい。

以前僕が払おうとしたときにそれを言ってきた。

彼女は中身がパンパンな財布をいくつも持っているから消費したいのだろうか?

それとも単に「支払い」という行動をしたいだけなのか?

ほんとにレテアさんは幼いのか、それとも

育ち方から影響をうけたのか?

彼女の父親は大臣を務めている。

そう。よく言えばお嬢様。

嫌な言い方をすれば親の地位から成り上がった…

いや、彼女の父親は非常に厳しいお人だと聞いた。

レテアさんも、その兄の団長さんも、

最初から高い地位にいたのではなく、

皆と変わらず、訓練兵士として入団したらしい。

つまり、今の彼女の位は彼女の実力でかけ上がったということである。

でもやっぱり上司のお金だと思うと気を遣う。

にしても、レテアさんが支払う時に女性店員が蔑むようにこちらを見るのがすごく痛い。


「お待たせしました。ケーキと紅茶とコーヒーです。」

いちごが乗ったケーキにスプーンを通し、一口食べると

「数ヵ月ぶりの糖分だ…!」

そう言って目を輝かせる。

僕はそんなレテアさんを眺めながらコーヒーを飲む。

レテアさんが紅茶を一口飲むと、

「ライアはさー?彼女とか作らないのー?」

ときいてきた。

僕は思わずコーヒーを吹き出しそうになった。

堪えたせいでコーヒーが変なところに入りかけた。それで僕はしばらくむせた。

落ち着くと、僕はどうしてですか? と問いかけた。

「んー…ライアって優しいからいるかなー…って…!」

コーヒーを一口飲んだあとに僕は

そうですねぇ… と考える素振りをする。

「レテアさんとなら付き合えますよ?」

僕は彼女にそうやって軽い冗談で返す。

「…ほんと…?」

レテアさんは僕が言う冗談にすぐノせられる。

が、なんとなく言った冗談が本音に変わる場合がある。

「はい。本当です。」

もちろん半分冗談だ。

間を置くとレテアさんが席を移動して隣に座ってきた。

「じゃあ……そうする…?」

手を握ってきた。

彼女の手の温もりを感じる。僕は気が付くとその温もりのある手を握り返していた。

幼いところが短所として挙げられるが、それはレテアさんの良いところでもあると僕は思う。

この性格だから色々な人と仲良くできる。

幼い子供たちも、若者たちも、老人たちも、国王様も…。

幼いところがあるレテアさんが、僕は_


「なんてねっ!」

急にさめた。二つの意味で。

まさか自分が__

「ノせられちゃった?」

_ そう。ノせられちゃったのだ。

レテアさんが元の席に戻ると紅茶を一口飲み、

「どう? 嘘も上達したでしょ?」

と、にこやかに言った。

ノせるのが得意だった僕が、人の嘘に一回もノせられたことのない僕が、今日はじめて彼女にノせられた。

僕は素直に負けを認める。


会計を済まし、カフェを後にする。

城に戻り、団長に頼まれたほうきを渡す。

団長は軽く笑みを浮かべて頷いてくれた。

レテアさんは自室に戻ってから仕事を始めようとする。

僕もそうしようと自室に戻ろうとしたとき、

レテアさんは

「ライアのこと、好きだよ! いつもありがと!」

とにこやかに言って去った。

「僕も好きです。」なんて言えない。

本当に好きだからこそ、そんな言葉は言えない。

でもやっぱりレテアさんに言われるとすごく嬉しい。


翌日、部下たち…主に男の部下の間で誰かが抜け駆けをしたという噂が流れた。

が、それが僕だと分かった瞬間鎮まった。


抜け駆け…そう、レテアさんは団内ではアイドル的存在なのだ。


実はもう一人団内アイドルがいる。

いや、隠れファンというものが多いだけだが…

その人は__

いかがだったでしょうか?

主に恋愛となってしまうのは勘弁してくださいと言いたいところですが、安心してください。

ちゃんと友情もありますよ。

次回はいつになるか分かりませんが、気長に待っていただけると幸いです。

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