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冒険家は夢を見る
始まりの冒険家ムジカの手記より。
かつての世を覆う神代の闇は薄れ、我ら大地の民は地上に棲家を得た。霊峰ヒュプノンテの麓、静かなる泉エルトナの傍ら、深き渓谷郡ドミナスの中、神の加護薄き大地に出でつかの間の安寧を築く。
つかの間の安寧の隣に潜む見えざる手を、忘れるな。遺物は大地を呑み込むのだ。抗え、大地の民よ、求めよ安寧を。気を抜くな、加護が蝕み我らを生かし、そして殺すのだ。
だから私は、世界の果てに行こう。先に安寧の地で待つ。
未だ見ぬ世界の果ての平穏の大地、静かなる海と蒼い空。始まりの冒険家ムジカの手記の一端を心に、冒険者は夢を見る。
神代の遺物で別たれたこの世界にも、安住の地があるのではと。
空も海も大地も、その全てに神の遺し給うた物は干渉する。
だが、ある者は言った。この世全ての神の集積地は不干渉にして安寧の地であると。
また、ある者は言った。大地は不変にして不干渉の証であると。
痕跡は見つかり、情報は集積する。世は正に大冒険時代である。
若者よ、安寧を探せ。今だまだ見ぬ不干渉地帯“ムジーク”はそこにある。