プロローグ
自己満足の創作物を楽しんでいただけるかは分かりませんが好きな物全部盛りでやってみたいと思います。
右腕を前に突き出し僕は唱える。
『ナユタに【パワーブースト】』
続けて
『トラに【フィジカルブースト】』
2つの魔法により、僕の前方左右に立つ2人の人物に淡い光が身に纏う様に出現する。
『ありがとう!ワタル!』
『よし、行って来るよ!』
2人はそれぞれ僕に言葉を掛け足早にその場を去る。
僕達3人が対峙している(モノ)を考えればお喋りなんてしている場合では無いだろう。
だけど2人は一言だけど僕に応えた。
(欠陥魔法使い)の僕に。
僕の役目は2人の長所を伸ばすだけ……。
『そろそろかな…』
僕は誰にも聞こえない声で呟く。
大切な家族達を送り出す事だけが僕の仕事じゃないんだから。
主婦みたいな言いぐさだけど。
この2人なら信じられる。
そう思えたんだ。
だから、
『家族(属)性の真骨頂を見せてやるよ!』
僕は走り出す。
新しい家族2人を追い越す程のスピードで、地を踏みしめ自分を前に前に押し飛ばす。
『わっワタル!?』
『ええっ?』
なんだか面白い顔が両脇に見えた気がしたけど、今はどうでもいい。
久しぶりの高揚感に伴って、僕の魔力が体内から暴れ出したいと言わんばかりに放出され、それを垂れ流しながらの疾走。
まるで光の帯を引きながら空を滑空する隕石の様にただただ前に走る。
『ボスは僕がやるからっ!』
振り向き様に放った僕の言葉に2人は惚けた顔をしていたけど、互いの顔を見た途端微笑んで、
『『任せた(わ)!』』
それを見て安心した僕はふと考えた。
まだ異世界生活1週間目だよな…と。