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First Love  作者: きっちゃん
1/5

幼馴染

始めての投稿です。文章の矛盾があるかもしれないので

その時は目を瞑ってください。よろしくお願いします。

神崎~!早く起きないと遅刻するわよ!」

 俺は母さんの言葉には返答もせずベッドから起き上がった。正直、学校はかったるかった。

「ほら、千景ちゃんが待ってるんだから早く!」

 千景というのは俺の隣に住んでいる一つ上の姉みたいな人だ。俺が千景のいる学校に通うことになって以降、ほぼ毎日こうしたやり取りが続いている。

 そして、俺は神崎一輝{かんざきかずき}。渚第一高校の二年生だ。高一までは隣町のとある高校にいたが親の仕事上でこの渚第一高校に来ることになった。この町に来るのは三年ぶりだが、その際知り合ってたのが月見里千景{やまなしちかげ}というわけだ。

「うっせ~な!今行く!」

 俺は正直、このお節介な人にはうんざりしていた。でも・・・

「おはよ!かずくん!」

 千景は嫌な顔一つせず俺を出迎えた。いや、出迎えたというよりはお節介を焼かれたのだろう!

「あ!あぁ~。どうでもいいがその呼び方だけはやめろ!」

「どうして?かずくんはかずくんでしょ?」

「もうええわ!それよりなんだ?まだ、学校までは時間があるんじゃ・・・」

「何言ってんの?かずくんは今日日直でしょ?」

「あぁ~そうだったな・・・って何でお前が知ってんだよ!」


「かずくんの友達の亮君に聞いたの。あいつ明日は日直って!」

 あの野郎。余計な事を言いやがって・・・

「早く準備してよね!」

「あぁ~千景。俺、今日はちょっと」

「ゲームを徹夜してたから具合が悪いではないよね(笑)」

 駄目だ完全にばれてる。朝が早いため頭も働かなかった俺は観念して着替えて一緒に登校した。

「んじゃ・・・私はこっちだからかずくんは早く職員室に行って日誌を取りに行きなさいよね!」

 千景の姿が見えなくなった後、俺は自分の教室に入りもう一眠りしようとした。でも、そこには・・・

「あれ?神崎君じゃない?どうしたの?こんなに早く?」

「あっ!いや・・・えっと・・・俺、今日日直だから・・・」

「そうか?偉いね。でも私も日直だから日誌は取りに行ってきたよ!」

「あぁ~そうか。」

 こいつの名前は青羽麗華{あおばれいか}。俺がこの学校に編入した際に学校を案内してくれた良き委員長だ。それが原因かは分からないがたぶん・・・俺はこいつに一目惚れしている。でも、そのことは口が裂けても言えない。幼馴染の千景にすら悟られてないから・・・でも、もう一つ。俺が告白できない理由があった。それは・・・

「お~神崎じゃん!どうした?こんなに早く。明日は台風がくるんじゃないか?」

「うっせ~誰のせいだと思ってんだ!」

「はは~!気にするな!たかが二〇分早く学校に来ただけじゃないか!」

「俺にとってのその二〇分は貴重な時間だっつうの!」

「いいじゃん!千景さんと一緒に登校できるんなら・・・」

 こいつは小鳥遊亮{たかなしりょう}。千景とはいとこ同士関係らしい。同時に俺が思いを寄せている麗華の彼氏でもある。こんなお節介を焼くとはいえ、この町に久々に帰ってきた際にぼっちだった俺に声を掛けてクラスに馴染ませてくれたのはこいつだから感謝もしている。

「ところで、神崎?お前らって付き合ってんの?」

「はぁ~?誰と誰が?」

「お前と千景。」

「どうしてそういう方面になったのかは知りたいが・・・残念ながらそれは嘘だ。おれはあいつに興味なんて示さねぇよ!」

「ふ~ん。結構似合っていると思ってんだけどな。」

「そりゃどうも。んじゃ・・・俺、屋上に行ってくるから、適当に降りてくる!」

「何で?」

「俺がいると、二人きりになれないだろ(笑)」

「はぁ~うるせっ!」

 隣を見ると亮の顔はゆでタコみたいな顔をしていた。そして、麗華は平然と今日の日誌に行事予定を書いていたが、明らかに手は震えて動揺していた。さてと・・・こいつらをからかうのはいいとして・・・

「へいへ~い。それじゃ、二人でごゆっくり(笑)」

「お前一回死ね~!」

「そのセリフそのまま返すぜ!」 

 こうしたバカ騒ぎは俺と亮だからできる事だ。知り合ってわずか1ヶ月でこういった事ができるから。そして、一ヶ月で俺が一目惚れした麗華が実は亮の彼女だったんだからな。

「神崎君!」

 突然の声。方向を見ると麗華だった。

「八時五〇分までには教室に来てね!」

「お、おう。分かった。」

 その後、俺が教室に入ったのは一〇時ころだった。一限目の現国の金澤先生に大目玉をくらったが、特に気にしてはいなかった。なんせ、渚第一高校は全校生徒一〇〇人にもみたない田舎の高校だからだ。二年後には隣の梅野森女子学園と統合されて男女共学になる。その際に金澤先生は東京の沢野原高校の教頭先生になることがほぼ決定してるらしい。この高校を去る奴にどうこう言われようが俺の心には響いてこなかった。

 昼になって俺はいつもの学食で食べようとして、パンが売られている購買へ向かった。購買は教室の三回にあった。田舎なのに、購買というしっかりと学食を売りにしているのが渚第一高校の強みでもあった。

「かずくん。今日も購買?」

 三階にあるということは必然的に千景のいる教室を通らなければいけなかった。その度に俺はルートを変えたり時間をずらしたりしているのだが、ほぼ三日以内に全てを見破られてしまう。

「あぁ~そうだが・・・」

「はい、今日のお弁当。これから一緒に食べよう。」

 一緒に食べるのは別にいいと俺は思った。でも、場の状況を考えてもみろ。ここは三年生校舎。二年生の俺がここの教室で食べるのも違和感がある。更に・・・

「おい、また、あいつが来たぞ。」

「くそっ!今日こそは千景ちゃんを誘おうと思ったのに・・・」

「どうする?絞めるか?」

「いや・・・あいつは千景ちゃんと仲いいからな。早々にチクられたんじゃ・・・」

 っとまぁ~こんな会話が聞こえてくる。千景はまぁ~幼馴染の俺が言うのもなんだが可愛い方だと思う。

 幼馴染じゃなかったら俺もあっちの輪に入っていたことは確信している。そして・・・

「くそ!また、千景と凛をあの男に独占されたんじゃないか!」

 凛{りん}と言うのは千景の友達だ。こっちもまぁ~可愛い方だと思う。客観的に見ればそれはハーレムとも言える。しかし、俺がこの状況を嫌いなことが明確に分かる瞬間が今日も来る。

「ところで、神崎君?ちーちゃんとはどこまでいったの?」

昼食早々にこの会話。そして、千景もそれに合わせるかの如く。

「やだ~凛ちゃん。かずくんはそこまで積極的じゃないよ・・・まぁ~たまにそういう場面ができたりできなかったり・・・」

 千景も冗談で返す。この辺は別に問題はない。問題はここは三年校舎。クラスに後輩は俺一人。周りには三年生男子の半数近く。後は察しがつくだろう。

「やっぱり絞めるか?」

「いや、古典的だが画鋲を靴に入れるのは・・・」

「もう、いっそのこと、体育館に呼び出すか?」

 周りからの三年生の会話。転校早々、俺は先輩にいいように思われないらしい。ただ・・・

「あれ、神崎君だっけ?今日は学食じゃないの?」

「あっ?青羽先輩。いえ、千景に掴まちゃって・・・」

「ははっ!それは大変?なのかな。それより、今週空いてるか?」

「今週末?何かあるんですか?」

「いや、大したことじゃないんだが・・・近くの公園で桜が綺麗じゃん。みんなで桜を見に行こうと思ってんだけど・・・」

「まぁ~別にいいですけど・・・俺、三年生に獲物にされないですかね?」

「大丈夫だって。誘おうとしているのは、そこの二人と俺と俺の妹とそいつの彼氏だけだよ!」

「はぁ~そういうことでしたら・・・」

「決まりだな。んじゃ、午後一時にに公園駐車場前に集合な!」

 そのことを言うと、青羽先輩は近くにいた友達らしき人と学食の方向へ去って行った。

 因みに青羽先輩というのは、麗華の兄にあたる。確か下の名前は遥人{はると}だったかな。妹の麗華は人見知りで兄は積極的な性格。そんでもって、この高校の生徒会長を務めている。そして、そこの二人と誘ったのは凛の彼女になるらしい。二人とも生徒会に所属しているため、周りからもベストカップルと言われてるほどらしい。

 ん?待てよ?公園にその六人でいくということは・・・

 亮×麗華、凛ちゃん×青羽先輩、千景×俺?

 それを思ったのは時すでに遅し。

 千景と凛は二人で紅葉についての計画を立て始めていた。俺は、さっさとこの教室を出て全速力で二年校舎に走った。走ってる途中の三年生の殺気がリアルだったから・・・


そして、日曜日。公園に行く前に、千景は凛ちゃんと買い物に出るとか言って午前の内に家を出たらしい。俺は特にやることがなかったため、集合時間ギリギリまでゲームをしていた。

 一時には俺以外の人たちがすでに集合していた。青羽先輩や凛ちゃんなど、年上を待たせたのは正直なところ、反省していた。でも、先輩は気にせずに、

「よ~し!みんな揃ったし、さっさと行こうぜ!」

「でも、先輩?場所がありませんよ!」

 今は公園は桜シーズン。また、ゴールデンウィークとも重なり、周りには人、人、人だった。

 しかし、先輩は・・・

「そんな人ごみ気に済るなって!こっちだよ!穴場があって、そこに場所をとったんだ!」

 先輩が連れてきた穴場スポットにはたくさんってわけではないが見渡す限り桜でいっぱいだった。

「ここで飯食おうぜ!」

 俺たちは青羽先輩が指定した場所で飯を食べようとしていた。まぁ~最初はみんなでガヤガヤと騒いでいたわけなんだが、時間が経つにつれて・・・

「もう、亮。ほっぺにご飯粒ついてるよ!」

「おい、凛!俺の携帯で何すんだ!」

 っとこういった具合に彼氏彼女同志でいちゃつき始めたのだ。正直、俺は気分が悪い。こういう展開は予想できたが、ここまで来ると普通の精神状態ではいられない。楽しかった花見が徐々に薄れ始めた。

 そして、完全に消えてしまう前に・・・

「んじゃ、亮、青羽先輩。俺はここで失礼します。」

「ん?どうしてだ?これからじゃないか?」

「いや・・・さっきお袋から電話がかかってきて、今夜は俺の両親がいないみたいで、帰って夕食の準備をしなければいかないんです!」

「だから何だ?つまりは暇ってことじゃないのか?」

 亮が聞き返してくる。ごもっともな意見だけど・・・

「千景!ちょっと来てくれ!」

「ん?何?かずくん?」

「亮!千景のおでこに手を当ててみろ!」

「ん?あぁ~いいが・・・」

 亮は何の疑いもせずに千景の額に手を当てた。千景は嫌がったが、俺が静止させた。リアクションは予想通りだった。

「千景!お前・・・すごい熱じゃないか!」

「いや・・・これは・・・その・・・」

 千景がしどろもどろになっている。まぁ~熱で頭が回らないだけだと思うけど。

「っという事だ。俺の両親がいないってことはたぶん、千景の両親もいない。日が変わらないうちには帰ってくるかもしれないが・・・」

「神崎!」

 話の途中だが、青羽先輩が口を挟んできた。

「いつから気づいてた?千景の体調の悪さに!」

 意外と真剣な表情だったから俺も真面目に答えた。

「最初に顔を見たときからです。いつもの千景なら、先輩たちが盛り上がりかけたころに千景も一緒に応戦みたいな形で紛れ込む。しかし、花見を開始してから小一時間経ったが一向に盛り上がる気配はない。更に、決め手だったのが先輩たちは気づかなかったと思いますが、食べる量が少なかったんです。駄目押しが、俺が帰ると言った際にノーリアクションだったってことです。」

「それだけの事で千景の体調に気付いたのか?」

「五年ぶりとはいえ幼馴染をやっていたわけではありません。」

「かずくん。もういいよ。私、一人で帰るから。」

 千景は立ち上がったがもう限界が来たようでまともに立つことも出来なかった。

「千景!無理するな!花見なんて来年でもいつでもできるだろ!っという事で先輩たちは引き続き楽しんでください。」

俺は千景をおんぶして家に引き返した。千景の両親には俺が連絡して、日付が変わる前には帰ると告げられた。普通は仕事を放りだして子を心配するが、俺も千景の両親も仕事一筋で生きてきた人たち。

 俺と千景はその環境下で育ったが彼女にとっては相当な負荷がかかっていたみたいだ。

「ごめんね。かずくん。私のために・・・」

「いいから、寝てろ!それにあの花見を続けていたところで俺もつまらん。ぼっちでの花見なんて何の得にもならん。それより、早く風邪を治せよ。」

「ううん!でも、やっぱり、かずくんは騙せないね。私、結構無理してたんだよ!気づかれたら絶対帰されるって。」

「そりゃそうだろ!病人をほっとくわけにはいかないからな。」

「かずくん?本当は私に会った時で体調の悪さに気付いてた?」

「ん?あぁ~もしかしたらって思ったけど、お前が花見を楽しみにしてたかどうかはよく知ってるし、多少の事は見過すつもりだったが・・・さすがに限界を感じてな。」

 俺は先輩たちに嘘を言ったがさすがに千景には気づかれていたらしい。

「ありがとうね。」

「いいって!それより、早く休め!多分この調子じゃ明日の学校にも行けないだろ。」

「うん。」

 さてと・・・後片付けだな。

 まず、千景の両親に事細かに伝えた。さすがに、電話ではあんなことを言っていたが電話して約一時間後には帰ってきた。千景のお母さんの「ありがとうね」の言葉が印象的だった。

 次に、亮と麗華にメールをした。心配していたらしく、返事はすぐに返ってきた。

 最後に、青羽先輩や凛ちゃんにも報告。二人とも、千景とは長いらしいが体調の変化に気付けなかったのが悔しかったらしく、落ち込んでいる光景が目に浮かんだ。

翌日、俺は逆の立場だが千景の家に向かった。まぁ~予想通り、千景のお母さんから

「ごめんね、一輝君、千景、まだ熱が下がらないらしく・・・」

「いいえ結構です。それではお大事に。」

 俺は転校してから始めて学校に一人で行った。

 朝は亮や麗華に千景の体調を聞かれたが、いたって順調ってことを伝えたら安堵の表情だった。

「それより、神崎。お前・・・すげぇな!」

 亮からの関心の言葉は出会って初めてかもしれない。

「だって、普通わかんないぞ!雰囲気等で体調の変化を気づくなんて!」

「うん、まぁ~五年前だから不安もあったが、癖は変わってないみたいだし・・・」

「癖?」

「確かに、お雨の言うとおり雰囲気だけではどうしようもないが・・・青羽先輩には隠しているが千景は嘘や我慢してるとき、俺から目線を逸らす。学校に来てから思ったことだが、千景は嘘や我慢をしてると、異性から目を逸らす癖があるみたいだし・・・その回数があまりにも昨日は多かったから・・・だな。」

「ふ~ん、そうなんだ。」 

 俺と亮が会話をしていると、麗華が教室に入ってきていつの間にか俺たちのすぐ隣にいた。話に夢中で気づかなかった。

「そういう、癖があったんだ。神崎君はどうしてそのまま放っておいたの?」

「それは千景に説明したし、本人も理解してくれたからあまり触れないでくれ。それと、癖はお前たちには知っておいてほしい。あいつは無理をすると目線を逸らすって・・・」

「う、うん。いいけど・・・本人が知っていたらどうしようもないじゃない。」

「それは安心しろ!全く知らないはずだ。なんせ、癖なんだから指摘されない限り知るわけもない!」

「なんだか、神崎君ってちーちゃんの事になると結構一生懸命になるよね。」

「そうかもしれないな。」

 これ以上は何を話したかは覚えてない。五分くらいあったはずだが、あっという間に時は経ち、チャイムが鳴った。

 昼休みになって、先輩たちにも説明はした。要所を教えて説明をして、俺はいつも通り学食で・・・ってこの学校に来て学食の飯を食べるのは初めてかもしれない。なんせ、千景に捕まってだいたいは千景の教室で食べていたしな・・・亮は麗華と中庭に行ったみたいだし・・・

 初めて、学食を食べた。味は美味しかったが何かが物足りないそんな感じだった。

 午後の授業になっても、千景の事を考えていたかもしれない。好きとかそんな感情ではなく、純粋に心配をしていた。俺は物思いにふけていた。

 放課後、俺は一回千景の家に行った。でも、誰もいなかった。病院にでも行ったのだろうか。俺は一回自分の家に帰り、一時間経ってから、また行った。今度はいた・・・が千景の姿はなかった。

 でも、千景のお母さんはいたみたいで声を掛けてみた。

「こんにちは。」

「あぁ~神崎君、いらっしゃい。」

 無理に元気を出してるみたいだ。でも、沈黙が続いた。

「あの~千景さんは・・・」

「・・・神崎君には話してもいいかもね。」

「はぁ~どうしたんですか。」

「まず、上がって。じっくり話してあげるから。」

 俺は、この言葉を聞いた時から覚悟が少しだがついていたのかもしれない。

「昨日は本当にありがとう。あの子って無理するかもしれないから正直、心配だったのよね。」

「でも、癪に障るかもしれませんが、千景さんの両親って共働きですよね?心配なら、どっちか家に残った方がいいのではないでしょうか?」

「その事なんだけど・・・順を追って説明するわね。」

「神崎君。一つ質問するわね。千景って昔、何度も学校とかを休みがちになったのは知ってるわね?」

「えぇ~でも、風邪で何日間か休む日がポツラポツラと。」

「うん、実はそれって私が学校についていた嘘なんだよね。」

「はぁ~。でもなんで・・・」

その後、俺は言葉を失いかけた。

「千景は、持病を持ってるの。」

「えっ?」

「神崎君はまだ小さい時からだったから何も言わなかったんだけどね・・・神崎君が転校してからかな。少しずつだけど、症状が悪化して、検査を受けたら悪性だって・・・」

「それで・・・」

「手術をしたわ。成功したって、でも、何年間かは検査のために病院に行ってたのよ。三年間何もなかったら完治したって・・・医者からもそういわれたわ。」

「まさか・・・」

「そう、再発したらしいの。奇跡的に転移はしてないから大丈夫みたいなんだけど・・・」

「けど?」

「千鶴の臓器に合う人がいないのよ!私たちも受けたんだけど・・・合わないって・・・」

「お母さん、落ち着いて。俺も正直落ち着けませんが、最後までお願いします。」

「あっ!ごめんなさいね。それで、今度は長期的な入院になるらしいのよ。でも、学校ももう少しで卒業だし、大学の事もあるし・・・あの子の一生を棒に振りたくないし・・・」

「そうですか・・・とりあえず、おばさん。今日は休んでください。俺も、辛いですが、千景が一番つらいんです。頑張っていきましょう。」

 途中から俺は自分の気持ちに抑制をかけていた。家に帰った。どうしようもない気持ちでいっぱいだった。千景の病院は確か・・・県立中央病院だったな。

 俺は、おばさんには黙っておいて千鶴の病院に駆け出した。










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