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双子の時間  作者: 巡
3/5

日常

 始業式が行われる体育館。

 そこには床中、体育や部活で使用するコートの線がいくつもの色と長さで溢れている。

 そして、体育館独特の匂い。

 桃也達が通う学校にはクーラーなんてものはない。

 そのため全校生徒が集まるこの体育館は、蒸せ返るような暑さだ。

 窓を開けたところで、風が涼しいと感じることはない。

 誰もが思う、早く終わってほしい校長先生の長い話。

 いつの時代も、学生にしかわからない時間の流れがあった。




「相変わらず校長の話長すぎ!!何言ってんのか、さっぱりわかんねぇし。しかも暑いし。」

 光樹は教室に戻り、口を開くや否や愚痴をこぼす。


「確かに話はちょっと長かったけど、わからないことはないよ。簡単に言えば、新学期も勉強やら、部活やら、行事に全力で取り組めってことでしょ。それに暑いのは仕方がないよ。夏なんだし。」

 桃也の言うことはごもっともだ。


「さっすが、生徒会執行部副会長。言うことが違うね!!」

 桃也のことを副会長を呼ぶのは、桃也と同じクラスで執行部メンバーの加藤瞬(かとう しゅん)


「瞬、お前先週のミーティングの議事録まだ提出してないだろ。佐伯先輩が怒ってたよ。」

 桃也は瞬に言った。


「やっべ!!忘れてた!!あー、今日会ったら絶対怒られる!!もう、どーしよー!!」

 頭を抱える瞬。


「ほら、お前ら席着けー。HR始めるぞー。」

 教室に響く男性の声。担任の加賀谷(かがや)先生だ。



 桃也達の隣のクラスでは、女性の声が響いていた。


「来週はいよいよ文化祭ね。みんな、夏休みも準備のために朝早くから来てくれた人や、部活が終わってから準備を手伝ってくれた人、本当にお疲れ様です。最後までみんな、準備頑張って下さい!!」

 咲也のクラスの担任、安藤(あんどう)先生が生徒達に労いの言葉をかけた。


「はーい。じゃあ、HRはこれで終わりです。明日から通常授業だからね!!!みんな遅刻しないように。いいわね、橘君と赤坂君??」

 安藤先生が、咲也と赤坂を見た。


「俺、遅刻なんてしたことありませーん。」

 赤坂はおどけて言った。


「········。」

 咲也は何も言わず、窓の外を眺めていた。


「二人とも、遅刻の常習犯でしょーが!!!」

 安藤先生は少し怒った口調で言った。


 咲也はそんな安藤先生の言葉も聞かず、ただ外を眺め、早く帰りたいと思っていた。




 また始まった学校生活。

 そこにはいつもと変わらない日常が広がっていた。

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