夏休み
「ただいま。」
返事がない。
桃也は特に気にすることなく、靴を脱いで自分の部屋に向かった。
ガチャ。
部屋のドアを開けると、ヘッドホンを付けてパソコンをしている弟の咲也がいた。
「ただいま。」
桃也は、咲也がしていたヘッドホンを外して言った。
「!!!?」
咲也は驚いて後ろを振り返ったが、すぐに相手が桃也だとわかり
「···おかえり。」
返事をかえした。
桃也は満足し、ヘッドホンを咲也に渡した。
「そういえばさ、夏休み明けにすぐ文化祭だけど準備進んでる??」
桃也は制服のワイシャツを脱ぎならが聞いた。
「んー。それなりに。」
咲也は、机の上に置いていた麦茶の入ったコップを持ちながら答えた。
「お前のクラスって、カフェだっけ??」
桃弥は普段着のTシャツと短パンに着替え、ベットに座った。
「そ。トーヤのクラスは何すんだっけ??」
「俺のクラスは、たこ焼き屋。って言っても、当日、俺は執行部の仕事で見回り担当だけど。」
桃也はスマホをいじりならが言った。
「サボり。」
咲也は桃也をチラッと見て言った。
「なんでそうなるんだよ。」
桃也は少し呆れた顔で言った。
「だって当日に見回りなんて、サボり以外例えようがないし。」
「だったら、お前も執行部に入る??」
桃也がそう聞くと、咲也は少し間を置いて
「·····やだ。」
咲也はまたヘッドホンを付けて、パソコンをし始めた。
それを見て桃也はクスっと笑った。
咲也は面倒なことが嫌いで、執行部になんて入るはずがないと桃也は知っているから。
まだまだ夏の残暑が続く8月。
もうすぐ終わる夏休みと、夏休み明けにある文化祭。
双子兄弟にとってこれが、きっかけだったのかもしれない。