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黒い服の人形

作者: riira

 私の家には黒の着物着た日本人形がある。



 祖母の話ではそれは彼女が子供の頃母親、つまり私の曾祖母が買ってくれたらしい。


 その話を聞いて以来、歳を重ねるごとに私は人形を不気味に思えた。


 なぜなら六十年以上前の人形なのに着ている着物が不自然なくらい綺麗なのだ。



 小さい頃に手に持った事がある。


 すごく触り心地がよく、初めて触ったはずなのになぜか懐かしさを感じた。


 ケースに入っているにしても不思議な事だ。



 今では用事がない限り、なるべく避けるようにしている。



 ある夏の夜、部屋のクーラーが壊れた。


 蒸し暑い部屋で寝れるはずもないので別の部屋へ避難する事にした。



 クーラーがあり、空いてる部屋は人形の置いてある所しかなかった。


 私はなるべく一人で寝たかったのでそこで寝る事にした。


 人形から離れた位置に布団を敷き、少し人形を気にしつつ眠りについた。



 その後、何かがちぎれるような音が聞こえて目が覚めた。


 はっきりしない意識の中、音のする方へ顔を向ける。



 それを見た時、私の意識は一瞬で覚醒した。


 あの日本人形が私の髪をちぎっていた。



 動こうとしてもなぜか身体が動かせない。


 なんとか逃げようと全身に力を入れた直後、髪をちぎる音が消えた。



 人形の手は止まっていて、ゆっくりとこっちを向こうとしていた。


 首の向きだけでも変えようとしても回らず視線は人形に固定されてしまった。


 人形と目が合ったと思った瞬間、私は眠りに落ちた。



 窓から微かに差す光で目を覚ました私は頭に残る昨夜の光景を思い出した。


 あんなものを見たのに何も違和感がなく、夢だったんだとどこか安心していた。



 しかし、首を横に向けるとそこにはちぎれた大量の髪に埋もれた日本人形があった。

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