5-13
森の果てにあったのは高く伸びる裾野と、硬く閉ざされた両開きの扉だった。
なんとか森を抜けることに成功したケイたちは、無事に降り立った地上でほっと胸を撫でおろす。だがそれもつかの間、目前に立ちはだかる頑丈そうな扉を前に苦い溜め息をついた。
ケイはジョージに目で合図をし、扉へ近づいた。チサや四人のユカリィたちもそれに続き、扉に手を置く。力を込め、全員で押してみた。だが、扉はびくともしない。
「やっぱり開かない、か。仕掛けがされているのかもしれない。どこかにヒントでもあればな」
周囲を手で探ってみるがヒントになりそうなものは何もなく、ケイは辺りを見回す。すると、地面の土で遊んでいたルーが声をあげた。
「こんなとこに絵がかいてあるよ?」
「どこです?」
尋ねながらルーへ近づくと、ルーは愉快げに笑いながら指をさす。
「ほら、とびらの下。おひさまとうずまきがかいてあるでしょ?」
「確かに。だが、どういう意味だ?」
得意げな笑みを浮かべるルーに笑い返しながら、ケイは頬に手を置いた。
「熱風、ではございませんこと?」
横から覗きこむように扉下の絵を見ていたアーナが、首をかしげながら告げる。
「どういうことですか?」
尋ね返すと、アーナがこちらを見つめた。
「つまりは、太陽風のことですわ」
目を瞬かせていると、アーナが微笑む。わたくしたちに任せてくださいな、と目配せをして、アーナがルーを呼んだ。
「え? え? どうするの? アーちゃん」
満面の笑みとともに近づいたルーを、アーナが押さえる。
「じっとして。わたくしと手を合わせて力を解放してくださいな」
「はぁーい」
二人のユカリィが手を合わせると、俄かに熱い風が巻き起こった。それをユーリが矢へ纏わせ扉に放つ。地響きに似た音がして、ゆっくりと扉が開いた。ケイはどこか得意げなアーナとルーに向かい礼を言い、一同を見渡す。それから一つ大きく頷くと、ぽっかりと口を開けた暗い扉の奥へと足を踏み入れた。




