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王の匠  作者: 朝川 椛
終わる世界の中で
84/101

5-13

 森の果てにあったのは高く伸びる裾野と、硬く閉ざされた両開きの扉だった。

 なんとか森を抜けることに成功したケイたちは、無事に降り立った地上でほっと胸を撫でおろす。だがそれもつかの間、目前に立ちはだかる頑丈そうな扉を前に苦い溜め息をついた。

 ケイはジョージに目で合図をし、扉へ近づいた。チサや四人のユカリィたちもそれに続き、扉に手を置く。力を込め、全員で押してみた。だが、扉はびくともしない。


「やっぱり開かない、か。仕掛けがされているのかもしれない。どこかにヒントでもあればな」


 周囲を手で探ってみるがヒントになりそうなものは何もなく、ケイは辺りを見回す。すると、地面の土で遊んでいたルーが声をあげた。


「こんなとこに絵がかいてあるよ?」

「どこです?」


 尋ねながらルーへ近づくと、ルーは愉快げに笑いながら指をさす。


「ほら、とびらの下。おひさまとうずまきがかいてあるでしょ?」

「確かに。だが、どういう意味だ?」


 得意げな笑みを浮かべるルーに笑い返しながら、ケイは頬に手を置いた。


「熱風、ではございませんこと?」


 横から覗きこむように扉下の絵を見ていたアーナが、首をかしげながら告げる。


「どういうことですか?」


 尋ね返すと、アーナがこちらを見つめた。


「つまりは、太陽風のことですわ」


 目を瞬かせていると、アーナが微笑む。わたくしたちに任せてくださいな、と目配せをして、アーナがルーを呼んだ。


「え? え? どうするの? アーちゃん」


 満面の笑みとともに近づいたルーを、アーナが押さえる。


「じっとして。わたくしと手を合わせて力を解放してくださいな」

「はぁーい」


 二人のユカリィが手を合わせると、俄かに熱い風が巻き起こった。それをユーリが矢へ纏わせ扉に放つ。地響きに似た音がして、ゆっくりと扉が開いた。ケイはどこか得意げなアーナとルーに向かい礼を言い、一同を見渡す。それから一つ大きく頷くと、ぽっかりと口を開けた暗い扉の奥へと足を踏み入れた。


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