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王の匠  作者: 朝川 椛
フルニエス
49/101

3-21

「ずっと探してたんだよ?」

「悪いな、ちょっとたてこんでて」


 ケイは嬉しげに笑いかけてくる少年と握手を交わす。はなだ色をした鳥多須岐とりたすき文様のサーキュラーケープに黒のキュロット。黒のブーツという釦師特有の服装に身を包んだ少年は、ゆっくりと視線をユカリィへ向ける。


「はじめまして。フルニエスの釦師で、タカ・都基山と言います。お噂はケイからかねがね伺っておりますよ、リチャード・ルイスさん」


 無邪気に手をさしだしてくるタカに、ユカリィも臆することなく手を握り、初めまして、と淡々とした表情で答えた。タカが、はあ、と感心したような声をあげる。


「さすがテルモアの釦師さん、本場の紳士はなんか違うなあ」

「そうか?」


 内心どきりとしながら笑んで見せるケイに、タカも笑顔で答える。


「うん、なんかすごいよ。優雅っていうか、所作に無駄がないっていうか……。何より堂々としてるもん、さすがだなあ」

「ははは」


 背中に嫌な汗が噴き出てくるのが分かる。早く話を変えなければ。そう思うケイを尻目に、ユカリィが尋ねてきた。


「ケイ、彼はケイの身内なのか?」

「ああ、従弟だよ。確か年は……」

「今年で十四になります、ルイスさん」

「そうですか、お若いのに立派ですね」


 ユカリィの言葉にタカが首をかしげる。一瞬目を丸くして、火がついたように笑いだした。


「ルイスさん! それってもしかして冗談ですか?」


 涙を拭きふきタカが尋ねる。


「いや、そんなつもりでは」

「僕らの職業は『六つになったら一人前』が常識じゃないですか」


 それともテルモアでは違うんですか、と笑いをおさめ、本気で訊いてくるタカ。返事に窮するユカリィに苦笑しつつ、ケイは首を左右に振った。

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