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非常口
なし
だんだん会場が
ざわついてきた
ふと見ると
非常口か
扉があって
外に出れるようだ
そちらに向かい
ぎぎっと押して
外にでる
すうっと冷たい
夜氣にあたる
高原なので
さすがに
夜は肌寒い
さっきのワインが効いたか
酔ったようだ
外気は寒いが
酔いはさめそうだ
見れば
山は静かだ
だが存在感を持っている
暗闇の中
そこに
山を感じる
深い黒
夜目が慣れてきたのか
まわりの木立も見える
遠くでけものの声がする
森は寝静まっている
硝子の向こうは
にぎやか
少し硝子も曇ってきている
4月なのに
誰かがこちらに
やってくる
なし