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たんか
なし
こちらも助けなきゃ
俺が護るという
意識が働いたか
はっちゃきに
かがんで
施設の無表情が
足を見る
どんぐりと
同じ事をしている
さすがどんぐり
医者ではないが
何度もこの種目で
けがをした人を
みてきたのだろう
重い顔をして
一言
大丈夫
ただのねんざです
おいおい
重い顔をするなよ
びびるぜ
っていうか
これがいつもの顔ですって
ぐったりしながら
はっちゃきを
そおっと
たんかにのせる
私が後ろを持とうと
したら
職員その2
職員その3が
これは私たちの仕事です
そういって
素晴らしく息のあった連携
プレーで
静かに
しかしながら
早足で
運んでいく
ひょいひょいと
川の飛び石を渡るような
軽快さだ
さすが
山慣れしている
5分くらいしただろうか
突然
目の前が急にひらける
なんのことはない
森を少し行けば
すぐに
グランドだったのだ
スタートした時の道とは
反対に出たが
おいおいおい
どんぐりを
見る
どんぐり
いやあーうちらも
迷ったんだよ
頭をかく
あらぬ方を向く
嘘がわかりやすい人だ
どこ、見てんだよ
二人っきりにする
作戦だったのか
よくわからん
どんぐりは
なし