2次遭難
なし
どんぐり
すぐに
草むらに消え
手頃な木の枝を探してくる
そうして
ジャケットから
包帯を取り出す
本当に恐れ入ったの鬼子母神
こんなところでギャグも
しょうもないが
なんでも出てくる
ないものはないのか
手早く包帯を巻き
固定する
聞けば
どんぐり
救急救命の講習をうけたとのこと
誰にでも
簡単に止血や人工呼吸の方法を
消防署の人が
教えてくれるらしい
その証の
黄色のカードをちらつかせる
まぶしいぜ
旦那
あんたはなんでも
できるねえ
しかしながら
この後どうするか
一同黙り込む
「置いてけ」
相変わらず言葉が短い
そして重い
痛さで
うめくように
はちゃきが言う
ここに置きざり
みんなで救助を
求めにいくか。
何か違う氣がする
オハラ
私が助けを連れてくる
少し涙ぐんで
決死の覚悟だが
はっちゃきを
落ち着かせるように
慈愛に満ちた
やさしい言い方
だめだ
2次遭難のおそれがある
どんぐり
どうした
さっきと違って険しい言い方
とげをなくすように私
大丈夫だて
宿舎なんてすぐっしょ。
甘くみんな。
どんぐり
いつにもなして
吼える
そうやって遭難は始まるとのこと
ここは慣れたどんぐり
何を慣れているのか?
私で
救援をもとめにいく方向に
固まった
何かが頭の中で鳴る。
何か違う。
なし