百合様
なし
あいもかわらずの毎日だったが
オハラは学校に休まず登校した
そして
休みをはさんで次の週
オハラが転入してからずっと
空いていた席に人だかりが
できていた
いつものように
オハラが
転入してからずっと
欠かさずしてきた挨拶。
誰も返す者がいなくても
する挨拶
グッドモーニングと
言って教室に入る
突然
その人だかりの中心の
小柄な女性が
オハラに駆け寄ってくる
グッドモーニング。
ニコッと笑う笑顔が
人なつっこい
オハラは思わず泣きそうになってしまった
何日ぶりに
挨拶をしてもらったのだろう
思わずハグをする
その瞬間
教室の空氣が
止まった
その異様な雰囲気に
すぐに
ぴーんとくるものが
あったらしい
髪の毛もぼさぼさの彼女は
窓際に佇む一人の生徒に向かう
それは学級で
いつも上品で優雅な
感じを漂わせ
みんなが百合様と呼ぶ
女性であった
また、おめえ
やっちょるのか。
一瞬なんの言葉だか
わからなかった
百合様は
優雅に笑うだけであった
なぜかその時だけは
取り巻きを感じた
場にそぐわない
爽やかなチャイムがなり
廊下のざわめきが聞こえる
担任が来るのであろう
百合様のまわりにできそうに
なった輪が
自然にくずれる
しばらくすると
臨時音楽教師が入ってきた
何事だろうか
なし