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どんぐり
なし
そこへ
突然扉が開いた
物静かな
ややずんぐりなどんぐりが
いや
男が入ってきた
名乗りはしない・・・無言
まあ これくらい
静かな方がありがたい
きらりと笑いながら
よろしくとか
握手とかされたら
たまらない
こちらから名乗る
普通の対応、
なぜ普通を装うのか。
悪い自分。
はじめからべたべたするわけではないが
二人で夕食会場に向かう
大きな食堂だ
まあ学食か
バイキング形式
すごい人だ
あの中に入るのはつらい
窓辺の席で待つことを
どんぐりに告げる
どんぐりは腹が減ってたまらないのか
さっさと躊躇せず進む
人を見るだけで疲れる
まわりを観察する
手詰まりで煙草が吸いたいところだが
もちろん灰皿はない
窓の外の暗闇をみる
真の闇
暗い
背の低い
薄暗い街灯に照らされて植え込みが見える
よく手入れされている
作られている世界
群がる人々
はずれるのは簡単そうだ
どんぐりを探そうとしたが
もちろん見あたらない
それにしてもあの人だかりに
突進していく
どんぐりの勇氣
尊敬に値する
なし