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室生犀星
なし
言っておくが
まだ7時少し過ぎ
それなのに
人がうじゃうじゃいる
はるか遠くだが
それはよくわかる
たくさんの人が
ゲート前の入り口にいる
びっくりした
今日は何度びっくりすればいいのだ
はっちゃき
つないだ手を一度はずして
額にかかった
髪の毛をはらう
払いながら
安心して
「ああよかった
まだ人はいないよ」
おいおい
どこをどう見て
あれで人が
いないと人は言うのだろう
都会人はこれだから
困る
ふるさとは
遠くに
ありて
おもうもの
・・・
突然
室生犀星の句が
浮かぶ
なし