第42話 神々の会議2
【ファルスーノルン:新星歴5023年4月30日】
――光喜再転生直後・ギルガンギルの塔――
エリスラーナは固まっている同胞たちを眺めると、ない胸を張り宣言した。
「さっき欠片ゲット。これでノアーナ様と結婚。皆は不敬だからダメ」
固まる会議室。
その言葉に触発され、皆が弾かれたように自分の主張を言い出す。
まあ、欲望ともいうが。
「…だめ…わたしが結婚…いちばんがんばった」
「何言っちゃてるのかしら?計測器作ったあーしが一番ですわ♡ノアーナ様との共同作業♡はあはあ、こっ、子作りも、もちろん。一番ですわ♡」
ダラスリニアはクマのような荷ぐるみを抱きしめ目を潤ませ。
アースノートはとても人さまに見せられないようなだらしない顔を張り付ける。
そんな二人に視線を投げ、モンセレアナはエリスラーナに口を開く。
「あらあらあら?今日の議題は違いましてよ?まあ結婚するのはやぶさかではございませんけど」
そしてにやりと顔を歪め、大人の魅力を噴き上げさせる。
「貴方達小娘では荷が重いと思うのですけれど?」
――4柱の女性陣が火花を散らす。
吹き上がる魔力で冗談ではなくギルガンギルの塔が吹き飛びそうだ。
「あははー。さすがノアーナ様。すんごい人気―」
唯一の男性であるアグアニードはため息交じりにつぶやくのであった。
※※※※※
この200年間。
神々もただ遊んでいたわけではない。
大切な創造主であるノアーナの願いを叶えるため準備を着々と進行させていた。
あの後最初に違和感に気づいたノアーナは、存在値を落とした後だった。
最悪のタイミングだった。
あれほど永遠ともいえる悠久な時間のすべてを捧げ、やっとたどり着いた安息の日々。
心から幸せそうに微笑むノアーナの様子。
力を落とすと言われたとき不満のあった神々も、その様子にできうる限り応援しようと心から願っていた。
まあ。
あまりに長い時間彼に会えなくて、不貞腐れて17年くらい寝ていたお子様もいたのだが…
※※※※※
「ねー、大変な仕事をしているアルちゃんいないのにー、それはだめでしょー、もー」
しょうがなくアグアニードは仲裁することにした。
話が進まない。
「むう。分かった。それはあと。それよりアースノート、進捗」
頬を膨らませながらも、本日の議題のためエリスラーナはアースノートに問いかける。
自分から振った話を自分で後回し。
さすがは最強幼女。
「ん-?あれ、回収量増えてる?…ああエリっちの分ですわね。えーと……」
ごそごそと着ぐるみの中を漁って、これでもないあれでもないと呟く。
お前はどこぞの猫型ロボットか?
「ジャーン!回収値がエリッちの6,400増えたから97,780、蓄積値が66,840…なので合わせれば164,000!!ですわ!最盛期上回れますわ♡――っ!?って6,400?!!」
「おおっ!!」
感嘆の声が上がる。
「よゆう…アイツの追跡は?どう?」
「今は反応ないですわね。あのクソッタレはどこかにバックレやがったようですわ。まあこの前見て150,000位だったから、アルテの件が片付けば…余裕ですわ♡」
「わかった。本題」
そう言いエリスラーナは席に着く。
促されて皆も自分の定位置に腰を掛けた。
当然ダラスリニアはお気に入りの端っこの席について『クマのような』ぬいぐるみを抱きしめた。
「皆も感じたはず。ノアーナ様今半分くらい」
「ちょっとまってー…うん。そーだねー!?えっ、たった2日で?」
「……さすがノアーナ様…すき♡」
「一気に決める気ですわね」
「たぶん手に入れた…根源魔法」
「「「っ!?」」」
爆弾発言に、再びエリスラーナ以外が固まる。
「だからさぼりすぎ。不敬」
一昨日まで寝ていたとは思えない上から目線なエリスラーナであった。
※※※※※
ギルガンギルの塔。
かつてノアーナが軌道エレベーター作ろうと、無駄に情熱を燃やした失敗作だ。
かつて一つの星で科学が異常に発達したときに、構想されたもの。
成功例は存在していない。
とはいえさすがは創造主。
暇に任せ4,000mくらいまでは作り上げた。
ただ反転魔法・重力魔法を概念で縛ってもそれ以上伸ばすことが難しくなり。
取り敢えずそこまでで完成とした。
ノアーナの隠れ家や神たちの部屋。
会議室
研究室(アースノートの寝室代わり)
図書館(時々茜が使用)
などなど。
多くの多機能センタービルとしていて建設されていたが…
正直持て余していた。
だが、今回の200年前の事変の際。
切り札とも呼べる活躍をする。
十重二十重に施した各種結界と多様な概念に神々の権能をこれでもかとぶち込み、術式の永続を可能とした絶対に感知できない部屋。
すなわち聖域を作り上げていた。
いらん事を大分していた魔王様。
グッジョブである。
そして聖域ではノアーナの存在の一部を対価に、神々の権能を増幅させ。
ある術式が紡がれ、世界に対して権能を機能させていた。
世界は200年の長い間、誰にも気づかれる事無く。
いくつかの事象を隠ぺいしていたのである。
編みこまれた術式で再現された【虚実】の権能によって。




