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第3話 転生と再会

白く輝く――それでいて認識できない空間。

脳に直接届く声。



『ノアーナさま……ノアーナさま……』


(…『ノアーナ』……誰だ?……懐かしい!?……)



脳は反応しない。

だけど魂がくすぶる。


――そんな感覚に、俺は意識が浮上していく。


再構築していく感覚。

俺が――俺になっていく。



『……!!……!?……!????』


響く声――それは俺の覚醒とともに、意味を失っていく。

まるで抵抗するかのように。


抵抗?――俺の意に反するモノ?



そして――静寂。



ふと俺を呼ぶ声が――いや思念が届く。


「………はい?」

「っ!?やっと……ええっ?!!きゃあああああああ――――?!!!」



※※※※※



そこは不思議な空間だった。

ぼんやりとした光に包まれていて『見ようとすると見えなくなる』


まるで遥か彼方の星

――焦点が定まるとぼやける、まさにそんな感覚。


先ほど存在していたナニカ。

それは既に感じることが出来なくなっていた。


(…俺を呼ぶあの声――聴いたことがある…)


刹那――


見えていた景色――


拒絶するかの如く。

まるで――法則が組み替えられるかのように。


心が怖気づく。

本能が感じる恐怖。


まるで幼子が、突然知らない場所に放置される――

そんな感情があふれ出す。


(あ…)


同時に。

俺を包み込む――温かく、心溶かされる感覚。


「っ!?」


ふと一点。

光のような――黒すぎる光沢がにじみ出す。

突如としてあり得ないほどに整った顔が俺の目の前に現れた。


翡翠のような、深く緑をたたえた瞳。


(…美しい)


現実感のない、まさに人類の憧れの結晶。

感嘆してしまう。


でも。


その瞳には渇望するような、獣じみた色が光る。


魂を。

俺の存在全てを。


問答無用に覗く瞳。


真直ぐ俺の目を射抜いていた。



「…ノアーナ様……見つけた……やっと……」


それは何かをつぶやく。

それは美しい手を俺の頬へと触れてきた。


「!!!…?!!!!」


声にならない俺の叫び。


――焦点がぶれる

――呼吸の仕方が分からなくなる


突如俺の認識がはじけ飛んだ。


頭だけでなく体全体が。

魂が。

存在が。


何百倍にも瞬間で膨張。

拡散したような、過去の経験ではたとえようのないおぞましい感覚に襲われ、そして……


瞬きする一瞬にも満たない時間で。

脳に直接刻まれた数十万年にわたる『魔王』であった膨大な記憶。



俺は……



「…ネル!?…そうか俺は…滅されたのか…そして分割され…っ!?――なんだ…?」


認識した情報。

凄まじい速度で虫食い状態になっていく。


脳を駆け巡るノイズ。


やがて――



※※※※※



「っ!?俺は…いったい何を!?…」


カチャリ

カップをソーサーに置く音、香る芳醇な香り。


気が付けば。

俺は美しい女性の前でローテーブルをはさみソファーに座っていた。


こぢんまりとした家庭的な部屋。

窓からは虹のような不思議な明るさが差し込み、色とりどりの花が咲き誇る。


美しい女性は目に涙を浮かべ、俺に微笑む。


とくん


跳ねる鼓動――そして。


激しく脈を打つ俺の心臓。



(…戻ってきた…ついに…)



意味は分からない。

何より今の状況、俺は理解していない。


だけど。


初めて見たはずの目の前の美しい女性。


美しい翡翠を連想させる瞳。

魅惑的な赤い唇。


(――懐かしい)


そう感じながら……


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