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第18話 宴の後で

皆の能力の把握に結構時間を費やしていた。

窓の外は既に薄暗い。


「…そろそろ…かな?」


俺は独り言ちると姿勢を正し、練り上げた魔力を自分の頭部へと集中させた。



※※※※※



軋む部屋。

凄まじい魔力の奔流。


それがまるで荒れ狂うがごとく部屋の調度品を揺らす。


光。

黒く輝くそれ。


まだ見えないそれは、質感を纏い俺の頭から滲みだす。


『…なんだよ。感が良いじゃねえか』


「まあ、ね…」


俺は姿見に向き合い、魔神眼を発動させた。


姿見に映る俺の頭の上。

ふよふよと浮いている、白銀をまとう漆黒の発光体。


その発光体は、ゆっくりと俺の手のひらへ降りてきた。



『いつ気づいた?』

「んっ?さっき皆の能力確認をしている時だな」


『フン…まあ、及第点、かな。赤点ぎりぎりだがな!』


「これは手厳しい」


俺はかつての魔王の力の抜け殻である、ノアーナを見つめた。


白銀をまとう漆黒の発光体。

本当の魔王ノアーナ。


やっぱり俺はスケープゴートだった。

確信してしまう。


だが。


「疑問だらけなのだが?」


『…』


「おいおい、だんまりとはひどくないですかね?魔王様?」


白銀をまとう漆黒の発光体は抗議するように点滅した。


『足りねーんだよ。分かんだろ?』

「あー…まあ」


俺の今の全力の魔力。

ギリギリ顕現させる限界。


正直。

全く足りていない状況だった。


『たくっ、これだから童貞は面倒くさいんだよ!一番近い存在であるネルの中に俺があることが分かって居るんだろうが!サッサっと覚悟を決めて抱きやがれ!』


「うぐっ」


分かっていた。


魔神眼が発動した瞬間。

ノアーナを構成する存在の場所が本能的に理解できていた。



まだ能力値が低いようで、グースワース内くらいしか感知できないが。

だからステータスを確認したくらいだ。


ひときわ大きい力の塊。

ネルの真核、そこにある。


その次に大きいのがロロンとコロン。


次いでカリンとミナト。

さらにはノニイ、ミュールス、エルマ。


えっと。


(――女性全員じゃねえか!?)


エルマは両性具有だし?


彼女たちの中、というか心?

真核に俺の、ノアーナの存在が確かに纏わりついていた。


『…まあ、俺様への信愛の深さに、欲情を混ぜるとそこに寄生するように俺が設定した』

「なんでそんな面倒なことを?」


『俺の愛したこの世界を守るためだ!!』


白銀をまとう漆黒の発光体はひときわ強く発光する。

まるで叫ぶように…


『最初は戯れだった』


「…」


『自分の存在理由?そんなくだらないことに悩んだこともあったさ』

「…」

『でも手に入れた。手に入ってしまった!』


「…えっと、何でもできるんだろ?何を悩んでいるんだ?」



『…くそっ。話しすぎた。終わりだ』


そういうと、白銀をまとう漆黒の発光体は『見ようとすると見えなくなる』もやに飲まれていった。


「っ!ちょっ!ちょっと待てよ!おいっ!まだ全然大事なことを聞けていない!」


俺はノアーナが消えていった空間を見つめながら固まってしまう。


なんだよ?

意味深なこと言いやがって!


分からないでしょうが。

それだけじゃ。


…この世界を守りたい!?

いや、何が手に入ったんだ?


俺は頭を抱えながらベッドへと倒れこむ。


(ちゃんと説明してくださいよ!こっちは陰キャでコミュ力レベル最低なんだから!)


茫然とし悶える俺。

突然頭に念話が届いた。


『とりあえずネルを抱け。話はそれからだ…大事にしないとぶっ殺す!…フン!』


そして今度こそ。

存在の認識はできず、俺は魔王様に言われたミッションに頭を抱えるのであった。


(ネ、ネルと!?…ううう、た、確かに彼女、好意を寄せてくれるけど…)



赤く染まる顔。

激しくなる鼓動。



(魔王様?童貞には難易度激高ですけど!?)



俺の魂の叫び。


それは誰にも届くことは無かった。


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