第16話 能力の確認タイム1~明かされる真実
歓迎の宴は終わった。
皆は片付けや、幾つかの仕事に戻ったところだ。
俺は今一人。
自室にいた。
ネルがついてこようとしたが
『疲れたから休みたい。後で呼ぶのでそれまでは一人になりたい』
そう言って。
取り戻した能力『魔神眼』
先程得た情報。
クリアとなった記憶をもとに整理を始めることにした。
『カチッ、カチッ…』
静寂な俺の自室に、魔刻計の刻む音が響く。
妙に地球のデジタル時計を連想させるつくり。
かつて“俺に近い”ノアーナが創造したのだ。
色々考えた挙句同じにしたのだろう。
(ノアーナ――あいつもきっと転生者だ…)
俺は自分に意識を集中させる。
クリアになっていく脳内。
ステータスのようなものが眼前に湧き上がる。
◆◆
【ノ;d。sf:・¥あxfkkール】
【種族】仮初擬似改造済みヒューマン
【性別】男性
【年齢】0歳
【職業】ノービス
【保有色】(琥珀・緑)
【存在値】2446/25000
【経験値】244632/244700
【特殊スキル】
『不老不死』『戒律支配』『物理魔力回復』
【固有スキル】
『魔神眼10/10』『権能耐性1/10』
『マルチタスク1/10』『魔王威圧1/10』
『運命操作1/10』『拠点登録・拠点間転移』
【保持スキル】
『念話1/10』『物理耐性10/10』
『魔法耐性10/10』『基礎魔法10/10』
『古代魔術1/10』『格闘術1/10』
【状態】異常・虚実(複)・ドM・記憶障害・能力制限
◆◆
「っ!?」
名前――おかしくなっている?
…種族が…
年齢と職業!?
(…そうか。やっぱりな)
違和感が確信に変わる。
…確かにすごい能力値だ。
でも…
俺に力はあるが――ノアーナは別にいる…
彼に仮初の体を与えられたのだろう。
だから転生時に、腕が鉱石のようになったんだな…
「ふうー…」
俺は大きくため息をつく。
だが、まあ…
とりあえず今は確認を優先させよう。
改めて魔力を揺蕩らせ、精神を集中させた。
…『ドM』!?
…はあ?
異常って…『複』って何?
突っ込みどころが多すぎるわ!?
…やっぱり称号は見られないな。
これは成長後だね。
※※※※※
ベッドに倒れ込む俺。
暫く打ちひしがれていたが、どうにか気を取り直した。
(…ネルたちはどうなんだろう)
俺の大切な仲間。
家族。
たとえ仮初だとしても、今の俺が思う気持ちは本物だ。
(仲間たちの、俺の家族のステータスを見ることにしよう)
魔神眼が復元した今の俺なら離れていても簡単だ。
もっとも熟練度が低いので見えない箇所はあるのだろうが。
今はとにかく確信が欲しい。
勝手に覗く罪悪感。
それを振り払い、俺は魔力を練り揺蕩らせた。
◆◆
【ネリファルース・ツワッド】
【種族】ハイエルフ・魔族のハーフ
【性別】女性
【年齢】322歳
【職業】魔王の運命の人・近衛騎士団団長・メイド長・魔法闘士
【保有色】(深紅・金)(漆黒・白銀)
【存在値】2846/4000
【経験値】284620/284700
【特殊スキル】
『※※※※』『健康』
【固有スキル】
『聖言8/10』
【保持スキル】
『物理耐性6/10』『魔法耐性5/10』
『精神耐性10/10』『物理魔力回復』
『念話8/10』『基礎魔法7/10』
『格闘術8/10』
【状態】正常・虚実・記憶障害
◆◆
「っ!?」
絶句。
俺は思わず頭を抱えてしまう。
(…ネル、俺より強かった)
いや、強すぎだよね?
何となく記憶に刻まれたこの世界の強者はせいぜい存在値300前後…
(怒らせたら逆らえねえ)
何となく身震いする俺。
うん。
なんか少し落ち着いたな。
コホン。
「っ!?…んん?」
…見えない特殊スキルがある!?
何だろ。
正常だけど虚実・記憶障害?
うーむ。
322歳か…見た目は18歳くらいだけど。
(…魔王の運命の人!?…ふおおお!?)
思わず俺は悶絶した。
…でも俺に対してではないかもしれない。
リアル百面相をしている1人の俺って…
深くは考えまい。
※※※※※
よし。
続いてムク。
◆◆
【ムク・ラサッタ】
【種族】改造済ドッペルゲンガー
【性別】男性
【年齢】42歳固定/243歳
【職業】執事長・モンク
【保有色】青
【存在値】1301/1500
【経験値】130179/130200
【特殊スキル】
『健康』『寿命無効』
【固有スキル】
『擬態・変態※不可』
【保持スキル】
『物理耐性4/10』『魔法耐性1/10』
『精神耐性9/10』『物理魔力回復』
『念話4/10』『基礎魔法2/10』
『格闘術8/10』
【状態】正常・呪い(弱)・虚実・記憶障害
◆◆
あー、
きっとノアーナの言葉で変態できなくなったんだな。
改造済みとか…
あっ寿命無効!?…
…ムクも正常だけど。
やっぱり虚実と記憶障害がある。
ざわり。
俺の心が警鐘を鳴らす。
浅くなる呼吸、震える体――
俺はしばしベッドに倒れ込み、呼吸を整えた。
(…今の俺でも触れられない…何かある)
※※※※※
「…ふう。落ち着いた」
まあいいや。
取り敢えず次はナハムザートだな。
俺は頭を振り、再度魔力を込める。
◆◆
【ナハムザート・レイオン】
【種族】改造済ドラゴニュート
【性別】男性
【年齢】90歳固定/298歳
【職業】近衛団団長代理・魔剣士
【保有色】紫
【存在値】1850/1800(解放条件※※※※)
【経験値】180534/180000
【特殊スキル】
『健康』『寿命無効』
【固有スキル】
『ブレス』『竜言魔法1/10』
【保持スキル】
『物理耐性6/10』『魔法耐性5/10』
『精神耐性9/10』『物理魔力回復』
『念話3/10』『基礎魔法4/10』
『格闘術9/10』
【状態】正常・虚実・記憶障害
◆◆
何らかの方法で存在値上限解放できそうだ。
心の隅にメモしておこう。
(っ!?…やっぱりナハムザートも…)
…彼にも虚実と記憶障害がある。
――なんだかモヤモヤする。
俺は深呼吸をし、確認を続ける。
よし、次は
◆◆
【ミナト・イズミ/リナーリア※概念呪縛】
【種族】改造済ヒューマン・魔族
【性別】女性
【年齢】22歳固定/224歳
【職業】料理長・回復術師(極)・魔王の愛人
【保有色】黄緑・(漆黒・白銀)
【存在値】142/1000
【経験値】14240/14300
【特殊スキル】
『健康』『寿命無効』
【固有スキル】
『料理の鉄人』『ストレージ2/10』
【保持スキル】
『物理耐性2/10』『魔法耐性3/10』
『精神耐性9/10』『物理魔力回復』
『念話6/10』『基礎魔法6/10』
『格闘術2/10』『回復魔法(極)7/10』
【状態】正常・概念束縛(弱)・虚実・記憶障害
◆◆
また虚実と記憶障害…
もう確定だろ。
200年前、何かがあった。
しかも。
おそらくとんでもない上位存在…神たちか?
(会う必要がある)
俺は心に決めた。
名前…なんかごめん。
ノアーナがやらかしやがった。
概念束縛(弱)…これだな。
戦闘タイプじゃないから存在値はそんなもんか。
まあ世界なら強い方だね。
…ていうか魔王の愛人!?
…ええー
俺は可愛らしいミナト、いやリナーリアか。
彼女の姿を思い出し、一人悶絶したのは言うまでもない。




