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第13話 歓迎の宴

グースワース1階、ダイニングルーム。


長いテーブルの上には、所狭しと豪華な料理が並んでいた。


どうやら宴のために奮発したらしい。

まあ、昨日の夜は私室で食べたしね。


この世界では1日2食がメイン。

昼食をとることは珍しいらしいのだとか。


今日はいち早く俺との顔合わせを優先し昼食にしたそうだ。


この世界での初めての全員と共にする食事。

思わず感情が込み上げる。


並ぶ懐かしい顔。


俺はきっとすべての記憶を無くしていた。

正直まだ思い出せていない。


でも。


今ここにいる仲間――いや、家族。

俺の心に温かいものが沸き上がり


――かつての記憶、それは感情を刺激していた。


「それでは我らが主、光喜様、ぜひご金言を賜りたく存じます」


幾分気持ちを持ち直したネルが口火を切り、12人集まったテーブルでは皆がそれぞれ飲み物を掲げていた。


かつての俺の方針らしく「食べるなら全員でだ。異論は認めん」とか言って。

仕事や用事があるときでも、食事の時には転移の術式を強制していたらしい。


(…うん、もう何も言うまい)


「ああ。昨日戻ったばかりだが、200年前から待っていてくれた皆に、まずは感謝を。そして今の俺はこの状況を徐々に受けとめ始めている。まだノアーナとは名乗れないが、光喜だ。よろしく頼む。では乾杯!」


もっとたくさん語るべきなのだろう。

でも、なんとなくこれでいいような気がした。


懐かしく心が落ち着き、安心感があふれ出す。


ミナト達の作ってくれた数々の料理や飲み物。

人間をしていた34年間には経験したほどがないほど美味で。


俺は目から汗をかきながら皆との楽しい時間を過ごした。



※※※※※



宴も中盤に差し掛かったころ。


対面の端の席で大きな肉にかぶりついていた二人のドラゴンの双子の美姫が、恐る恐るといった感じで俺に話しかけてきた。


「えっと…ノアーナさま?…光喜様?…おかえり…なさい」


そう言い、俺に駆け寄る二人。


ロロンとコロンは熱量のこもった瞳で見つめ、すっと俺の両腕に立派すぎる胸部を押し付けるように抱き着いてきた。


「うあ!?ちょ、ちょっと…」


スッゴイ良い匂いがするんですけど!?

つかめちゃくちゃ柔らかい?!


アワアワする俺にかまわず、さらにその状態で二人は俺の膝に乗ってきた。


(あああっ、両膝が幸せという名の柔らかさであふれているううう)



彼女たちは非常に美しい。


肩口で切りそろえた、さらりと煌めく美しい銀髪。

やや小柄だがメチャクチャ美しいプロポーション。


愛くるしく神秘的な、はかなげな印象を受ける可愛らしく小さな顔。


おそろいの水色のブラウスに、膝上までの濃紺のスカート。

胸元には可愛らしいネックレスが煌めいている。


見た目はとんでもなく可愛い少女。

とてもドラゴンだとは思えないほどだ。


ほぼ同じ顔が両側から、じいーっと見つめてきている。


ネルとはタイプが異なるが


――絶世の美少女。


ロロンの朱の混じった銀眼、

コロンの青を基調とした金色の瞳が熱を帯びる。


「光喜っさま!食べたらお部屋に行っても良い?…200年ぶりに甘えたいの♡」

「コクコク…またぎゅーってして♡」


「「…また…イイコト…して♡」」


顔を真っ赤に染め、とんでもない事を言いだした!?

理性が飛びそうな女性の匂いと柔らかい感触。


すでに俺はノックアウト寸前ですけどっ!?


(な、何やってるんですかね!?…以前の俺は!!?)



刹那。


ふっと、二人は少し離れたところに仲良く並んで立っていた。


(んんんん!?)


背筋に冷や汗が噴き出す!!


「コホン…ロロン、コロン。光喜様は帰還されて間もないのです。まだ混乱されているのですから、しばらくは『わたくしが付きっきりで』対応します」


ダイニングルームはまるで戦場のような凄まじい波動に包まれる。


「ですので貴方たちは森の魔物でも狩っていなさいな?」


(わたくしもまだ甘えていませんのに!そんなことさせません!!!それに光喜様?わたくしというものが居ながら、何をデレデレされておられるのでしょうか?!)


絶対零度のオーラをまとったネルが、ロロンとコロンを見据えながら同時に俺をにらむといった離れ技を披露した。


…よかった…

失禁しなくて…


よく耐えた、俺。

グッジョブ!



※※※※※



因みにロロン・コロンのふたりは。

ドラゴンの里で最強になり、当時世界の頂点だった俺に戦いを挑んできたらしい。


まあ結果はお察し。

今ではかわいいペット枠に収まっているようだ。



(…ペットとはいかがわしいことしないと思うんですけどね!?)



俺はますますノアーナに対し、少しの怒りと。

なんだか獲得するたびに乖離していく感情に。



蓋をする――


無意識でそうしていたんだ。


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