第5話 闇の侵略者
ストックがぁぁ
遺跡の奥から、次々に現れた闇の影は、まるで生き物のようにうごめいていた。
冷たい風がその周りを取り巻き、
空気が一瞬で重くなる。
翠の心臓は早鐘のように打ち、全身に冷たい汗が伝った。
しかし、目の前に立ち尽くしているだけでは何も解決しないことは分かっていた。
「リシア、どうすれば…」
翠は手にした宝石をしっかりと握りしめながら、リシアに問いかけた。
彼の手のひらに宿った力が、今、まさに試されようとしている。
リシアは翠をじっと見つめ、その目は真剣そのものだった。
「今、貴方の心の中に、力が流れ込んでいるのが感じられるでしょう?」
「うん、感じる。」
翠は小さく頷いた。先ほどから体内に流れる熱が、今、全身に広がり、力強い鼓動として感じられる。
しかし、どうすればその力を使うべきか、まだ分からなかった。
「その力は、貴方の想いが形になったもの。もし、心が決まれば、力はそのまま貴方を守る盾となり、貴方の攻撃となる。」
リシアは静かに言った。
「怖がらず、自分の想いに従って力を解放するのです。」
翠は深く息を吸い、周囲に漂う闇の気配を感じながら心を落ち着けた。
自分の心の中で何かが変わるのを感じる。
今、守るべきものは何か。
自分に与えられた使命は何か。
それを強く思い、力を解放する時が来た。
「俺は、この世界を守りたい。」
翠は力強く呟いた。
その想いが、確かに心の奥深くに響く。
そして、その想いと共に、体内から湧き上がる力が渦を巻き始めた。
その瞬間、翠の手のひらから光が迸り、
周囲の闇を一気に払うような感覚が走った。
光は、まるで無限のエネルギーを持つかのように、遺跡の中に反響し、闇の存在を弾き飛ばしていった。
「これは…!」
リシアは目を見開いて驚いた。
「翠さん、貴方の力が…!」
翠の手から放たれた光は、闇の影を一掃するだけではなく、その周囲の空間自体を清めるかのように広がっていった。
闇の存在は、次々とその力に押し流されていく。
だが、その中に、ひときわ強力な闇の気配が混じっていた。
それは、他の影たちとは明らかに異なり、純粋な「闇」の力を持っていた。
「何だ、あの影は…?」
翠はその存在に、無意識に警戒心を抱いた。
リシアもその気配を感じ取っていた。
「あれは、単なる闇の影ではありません。恐らく、異世界の闇の支配者の一部、もしくはその使い魔かもしれません。」
その影が動き出すと、瞬く間に翠に迫った。
影の形が変形し、巨大な暗黒の手が翠に向かって伸びてきた。
「リシア、どうすればいいんだ?」
翠は焦りを感じながらも、その力をどう扱うべきか分からず、足がすくんでしまった。
「翠さん、力を信じて!」
リシアは叫んだ。
「自分の中にあるものを信じ、心を開いて力を放つのです!今ならできる!」
その言葉を聞いて、翠はもう一度心を整えた。
闇の手が迫るその瞬間、翠は自分の中にある力を再び感じ取る。
それは、自分の中の温かい感覚であり、守りたいという強い思いから生まれた光そのもの。
「俺が、守りたいものを守るんだ!」
翠は力強く叫び、両手を前に突き出した。
すると、その手のひらから、今度は膨大な光が一気に放たれ、巨大な暗黒の手を打ち払った。
光が闇を打ち消す瞬間、遺跡内の空気が一変し、闇の支配者の気配が一時的に消え去った。
その力は圧倒的で、翠自身も驚くほど強大なものであった。
「やった…のか?」
翠は息を呑みながら、周囲を見渡した。
闇の影は消え去り、遺跡の中には再び静寂が訪れていた。
だが、その静けさの中に、何かしらの不安も感じていた。
リシアは徐々に近づき、静かに言った。
「翠さん、すごいです。貴方の力は、私たちが思っていたよりもはるかに強力でした。」
「でも…」
翠は手のひらを見つめながら、ふと思った。
「どうしてこんな力が、俺に備わっているんだろう?」
リシアはその質問には答えず、ただ静かに微笑んだ。
「力を持つ理由は、ただ一つ。貴方がこの世界を守るために選ばれたからです。」
その言葉を聞き、翠は少しだけ安心した。
だが、心の中で何かが引っかかっていた。
「これで終わりじゃないってことだな。」
翠は静かに言った。
「この闇の力は、ただの始まりに過ぎない。」
リシアは真剣な表情で頷いた。
「その通りです、翠さん。これから、もっと大きな試練が待ち受けているはずです。」
「分かってる。」
翠は力強く言った。
「でも、俺は負けない。何があっても、この世界を守るために戦う。」
その決意を胸に、二人は再び遺跡の奥へと足を進めた。
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ストックがないから仕方ない。うん()