第六話 冒険者ギルド②
俺が冒険者ギルドに入って早くも一ヶ月が経過した。
現在の俺のランクはブロンズ。
あれから複数回、ホワイトとブロンズの依頼を達成しランクを一つ上げることができた。
最初の方はホワイトの任務ばかりをこなしていたがやはり効率が悪かった。
そこで途中からはブロンズの任務をするようになっていった。
ブロンズランクの依頼は低級の魔石を手に入れるとかの比較的簡単な物が多い。
低級の魔石を落とす魔物は弱いので簡単に倒すことができる。
おかげで簡単にランクを上げることができた。
「アヴェル。ブロンズランクになったんから僕たちのパーティに来なよ」
ブロンズランク以上の冒険者はパーティに加入することができる。
今回俺のことを勧誘してきたのは同じくブロンズランクの冒険者であるノーランだ。
俺より少し前に冒険者になった新米で歳も同じくらいだと思う。
何度か依頼をこなしているうちに仲良くなった。
「ノーラン。お前がブロンズに上がったのチョット前だろ?なんでそんなにパーティー組むの早いんだ?」
「まあ僕は優秀だからね。そのくらいできて当然だよ」
言い方が鼻につくがノーランが優秀なのは本当だ。
俺と同い年と若いながらに様々な属性の魔法を高度に運用することのできる腕のたつ魔法使いだ。
シルバーランクに上がるのも時間の問題だろう。
それにしてもノーランはなんでそんなに色んな属性の魔法を使えるんだろうか?
通常、人には使用できる属性の魔法と使用できない属性の魔法がありその全てを使用することは難しい。
しかしノーランは俺が見た範囲でも基本四属性の火、水、風、土の全てを高い水準で運用していた。
大体の人は四属性の中で使用できる属性は一個、多くても二個程度なのに対してこれはすごい才能だ。
平民はおろか貴族でさえこれほどの才能を持っているものはいないだろう。
しいて言えば王に連なる物ぐらいか。
とにかくとんでもない才能であるということは確かだ。
「とにかく僕のパーティに入るんだ。君とならプラチナに上がれる」
「買いかぶりすぎだ。俺にそんな力はないぞ。でもお言葉に甘えさせてもらうよ」
どの道どこかのパーティーには入るつもりだったんだ。
せっかくお誘いしてくれたなら入ってみよう。
「じゃあ僕のパーティメンバーを紹介するよ。カモン!」
ノーランがそう言うと一人の女の人が出てきた。
一人だけか?
あんなに誇らしげだったのにノーランの勧誘能力は低いのかもしれない。
というか二人ではそもそもパーティとは言えないんじゃないか?
「こちらゴールドランク冒険者のニアさんだ」
「どうも~」
ニアさんはニコっと笑いながらそう言った。
前言撤回だ。
ノーランの勧誘能力はかなり素晴らしい。
まさかゴールドランクの冒険者を捕まえていたとは。
ゴールドランクは冒険者の中でもエリート。
一部の者しかたどり着くことができない境地だ。
一体全体どうやって引っ掛けて来たんだ?
「アヴェルです。よろしく」
この三人でパーティ結成か。
「さあ自己紹介も終わったことだし早速パーティ登録をしに行こうか!」
ノーランはパン!と手を叩きながらそう言った。