表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/16

運命の1台

 俺は、瀬里香との未来を描いていた。そんなキザシもクリスマスイブの夜にぶち壊された。運命なんて信じない。


 ふと、兆志は中古車販売店のショールームに目が止まった。奇抜なデザイン、フロントのメーカーのSの字が何だか不思議と俺を呼んでいるかのように。

 俺はそのスズキのセダンに惹かれるように、店へ入っていった。


 俺は

「スズキのなんていう車だろう?」

後ろを確認した。

「スズキ キザシ?って俺の名前と一緒!!」

「いらっしゃいませ!」

店員の山田大輔が笑顔で迎えてくれた。


「この車、キザシって言うんですか?」

俺は驚きと興味を隠せずに尋ねた。


「はい、そうです。スズキのキザシです。珍しい名前の車ですよね。お客様のお名前と同じとは、運命を感じますね。」

山田が笑顔で応じた。


俺はふと、運命という言葉に引っかかった。先ほどまで運命なんて信じないと思っていたが、今ここに立っている自分に少しだけ運命を感じてしまった。


「この車に試乗できますか?」

俺は衝動的に尋ねた。


「もちろんです。少々お待ちください。」

山田は手際よく手続きを進め、すぐに試乗の準備が整った。


車に乗り込むと、革のシートが心地よく体を包み込む。エンジンをかけると、その音は静かで力強かった。心の中に少しずつ希望が戻ってくるような気がした。


試乗中、街の明かりがクリスマスの装飾で一層輝いて見えた。恋人たちの姿が目に入るが、それを見ても悲しみは薄れていた。車の中で流れる音楽と共に、心は少しずつ平静を取り戻していた。


「どうですか?気に入りましたか?」

試乗を終えた後、山田が尋ねた。


「うん、すごく気に入った。この車、買います。」

俺は迷いなく答えた。


瀬里香との未来は終わったが、新しい未来がここから始まる気がした。スズキのキザシと共に、新しい兆しが見えてきたのだから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ