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失恋の夜

 俺は、クリスマスイブの夜にフラレた。恋人たちが賑わう街とは反して心は希望から絶望のキザシに。


 俺の名前は、鈴木兆志すずききざし

 彼女の名前は、豊田瀬里香とよだせりか


 何故だか、わからない。わかるなら苦労しない。


 それまで彼女と過ごした日々は、少なくとも俺にとっては幸せだった。だが、突然の別れ話に俺は言葉を失った。瀬里香の瞳には決意が宿っていた。どんなに問いただしても、彼女はただ「ごめんなさい」と繰り返すばかりだった。


 街のイルミネーションが眩しい。クリスマスソングが流れる中、俺は一人ぼっちの夜を迎えることになった。心の中にぽっかりと穴が開いたようで、何もする気が起きない。


 「何故なんだよ、瀬里香……」


 そんな問いかけに答える者はいない。俺は重い足取りで自宅へと帰る途中、ふと目に留まったのは中古車販売店のショールームだった。煌びやかなイルミネーションに包まれた店内には、一台の車が展示されていた。


 それはスズキのキザシだった。目を引くデザインと、その名前に心が揺さぶられた。まるで運命のように感じられ、俺は店内に足を踏み入れた。


 「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」


 店員がにこやかに迎えてくれたが、俺はただキザシを見つめ続けた。その時、ふと頭に浮かんだのは、車が新しい出発を象徴するような気がしたことだった。彼女との思い出を断ち切り、新しい未来へと踏み出すための一歩として。


 「このキザシ、試乗できますか?」


 店員は驚いたような表情を浮かべたが、すぐににこやかに頷いた。「もちろんです。どうぞお試しください。」


 俺はキザシの運転席に座り、エンジンをかけた。心地よい振動とともに、まるで新しい人生が始まるような感覚が広がった。未来への希望が、少しずつ心に戻ってきた。


 「瀬里香のいないクリスマスイブなんて、もうどうでもいいさ。俺には新しい相棒がいる。」


 そう自分に言い聞かせ、俺はキザシとともに新しい道を走り出した。未来はまだ見えないが、この車と一緒ならきっと大丈夫だと信じて。


 キザシが示す先には、どんな未来が待っているのだろうか。俺は、その答えを探すために、夜の街を駆け抜けた。

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