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あかない箱

作者: タカヒロ

「このはこあくべからず」

目の前のテーブルには手のひらサイズの真っ白な箱が置いてある。その箱には黒のマーカーでこのはこあくべからずと書かれている。しかし箱にはこれといった施錠はなく、幼児でも簡単に開けられてしまうだろう。もしもこの箱の中に何か見られたら恥ずかしいものや誰かに見せられないものがあるとすればこの管理は杜撰と言っても差し支えないだろう。ではなぜこのような言葉が載せられているのだろう。箱を乗せたテーブルにはいくつか引き出しがあった。もしかしたらヒントが出てくるかもしれないと思い、恐る恐る取手に手をかけた。引き出しは全部で4つあって上から三つ目までの箱は大したものが入ってなかったが、1番下の引き出しには便箋があった。そこには様々なジャンルの文化や趣味と言えるものが書き込まれており、音楽、スポーツ、映画などのものがびっしり埋まっていた。さすがにこれには戸惑いを隠せない。誰が何を意図して書いたのかさっぱりわからないのは誰でも当然のことであるだろう。この不気味な紙はあの不思議な箱と関係あるのだろうか。全く満足するような答えは浮かばない。人という生き物はみなするなと言われたことをしたくなってしまう生き物である。このテーブルに置かれた真っ白な箱は警告を出しているが、その警告だって時には裏目に出ることだってあるのだ。誰だって本能には逆らえらない。そう思うことにしてようやくと言っていいのかわからないが真っ白な箱を開けることにした。そして箱を開けてひどく後悔した。まず間違って欲しくないのは箱を開けたことを後悔したのではない。今まで箱のことで悩んでいたことを後悔しているのだ。それは箱の中にはさっきと似た便箋が入っていたことが原因である。書かれていることは違うものの内容は同じなのだ。様々なジャンルの趣味が書かれているだけで特段引き出しの中に入っていたものと大差ない。あくべからずと書いておきながら中身は大したものが入っていない、何も入ってないに等しい。この結果に不満を抱きつつ箱を閉じた。全く満ち足りない箱のようだ。

あく=飽く

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