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再生の魔女ゲッシュ

 ペナントステア、贖罪の目によって見せるのはその人の情景だ。心の中で残り続ける消したい過去、トラウマを観ることができるのだ。

そしてその情景を当事者に再び思い起こさせ、実体験させる。悲しみに暮れ、魂が死に至るまで終わらない呪い。悪者にはうってつけの加護だ。



 私が見たのは焼け果てた荒野に膝を崩す、白いローブを血で赤く染めた子供を抱える若い女性だ。

 腕に抱えた子供は力なく腕を垂らせていて、死んでいるのが見て取れる。そして女性は空に向かって口を開き、泣きながら咆哮している。


「返して!!私の子供を返してよ!!!!」


空は問に答えない。灰色の厚い雲が空を隠し、少しづつ雨を落としている。


「返してくれないの?...返してくれないのなら」


女性は歯噛みしてフードの奥から眼光を飛ばすと、返事をするように雨が降ってきた。


「____取り返すまでよ」


雨と血がまるで血涙のように頬を流れていく。空を睨みつける形相は綺麗で清楚な原型がなく、彼女はこの瞬間に魔女として生まれ変わったのだ。

山火事によって亡くした我が子を取り戻そうとする、彼女は再生の魔女として転生した。
















 鼻を鳴らせば嫌にベタつく肉の焦げる匂い。気味の悪いそれは協会に充満しているのは、右手に握られた老婆の生首が原因だ。眼球はない。眼球が焼失したせいで空洞が生まれ、内側の肉壁が炭で黒くなっている。まるで岩窟のようだった。

 ペナントステアの効力だ。トラウマによって死にたくなるほどの後悔に苛まれながら、現実では魔法によって顕現した地獄の業火によって体の内側から焼き続けられる。体と魂を責められ続け、心が死ぬまで終わらない。そして事後は体の内側が焼け焦げている。そのためできたのがこの両目の空洞だ。


 だが驚く事に、ここまで即死するような火傷を負い、尚且つ体のなくなった老婆は、シワシワに乾いた唇をゆっくり動かして言葉を垂れ流していた。


「カェ____シ____テェ…」


 掠れて声には到底聞こえないほど濁っても、彼女は吐き出さずにいられないのだ。絶望の淵を背にしても、子供を取り戻そうとする母の言葉だ。


「オネガ___イ___」


 哀しい諦めの言葉が耳に届く。私はそれを聞いて、舌打ちをした。


「他人に頼ってんじゃないよ。」


 私はゲッシュの頭を鷲掴み、握り潰した。湿り気はない。まるで乾ききってスカスカの樹を握り潰すのと変わりがない。

老婆だった灰が舞い落ちる時、教会に挿し込む陽の光で煌めいていた。


「罪は償ったんだ。後はあんたの勝手に巻き込まれた人に、ちゃんと謝って来い。」


 私は次の街をどこにしようかと考えながら、血で汚れた教会の扉に向かって足を進めた。

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