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わかりはしないと。ふーん。

 私は何とか宿にありついた。普通の宿。必要最低限の寝具が揃い、窓もあって、眠ることには貧困しない程度だ。だが大いに有り難いのは朝食がついていること。

だから私はドアの前に置かれたバケットを部屋に引き込んで、別途の上で普通のフランスパンを貪っている。


「...普通ね。普通。」


 朝バーガーが恋しくなる。手に収まる小さな紙コップに注がれた熱いコーヒー、ハッシュドポテトの油の旨味、全てを引き立てる安価なバーガー。悲しいかな、この世界にそれらは存在していない。


 硬いフランスパンを頬張りながら考えていると、ドアがゆっくり開いて糸目の神父が現れた。


「おはようございます。カトウさん。2夜3日の疲れは癒やされましたか?」


 ムカつく問にはムカつく返しで。


「あんたが余計な仕事押し付けなきゃ2日の疲れだったのよバーカ。」

「おやおや。まだ怒れる婦人なんですね。あなたにはそんなことをする暇などはありはしないはずですが。」


ロテオ神父はゆっくりとした足取りでベットの側まで来たあと、紙を差し出してきた。今までにないパターンで戸惑う。


「...なにこれ?」

「帝国師団からの正式な手続きで届いた正式な任務です。」


 その紙を恐る恐る受け取れば、デカデカと調査任務概要書と書かれていた。

私は思考が止まりすぎてどうすればいいのかわからなくなった。そうして紙に書かれていた事をゆっくり吟味し、ちゃんとした遺志を持って返事をした。


「嫌です。」

「ダメです。」


 まるで卓球のラリーのような早さだった。


「だめに決まってるでしょう。あなたの付与された権限を考慮すれば、任務の受領くらい妥当です。」

「何が妥当よ。なんの情報もない美の魔女を探せって話でしょ。藁山の針を探すようなテクはないのよ。」


 いつもこういう問答になる。ロテオの話し方はなんというか、頭がこんがらがるような感じだ。率直に話せば通るようなことも隠して、回りくどい御託で濁して人を動かそうとする。私はこういう手合がずっと苦手だ。


「まぁまぁ。事前にこちらも調べてはいますので、足を使って人の話を聞く程度のことですよ。実際肉の山に会った貴方なら確証を持って聞けることもあるでしょう。よろしくお願いしますね。」

「…わかったわ。行くならさっさと行きましょ。」

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