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オーディオの話

レコードプレーヤー

作者: 絵のなる木

今回はちょっと雰囲気を変えた文章です。

 新しいレコードプレーヤーを買おうと思った。


 数年前の初冬、寒さを実感し始めた時のことである。

 実はオーディオファンにとってこの時期は、各地でオーディオの試聴会が開かれ、新製品も紹介される、ある意味華やかな季節でもある。


 たぶん冬のボーナス目当てなんだろうな、と思う。オーディオ業界も御多分に漏れず不景気で生き残るために必死だ。音楽という芸術にかかわる業界なのだが、まあ、なにかと世知辛い世の中である。


 ただ、私がその時買おうと思ったのは、ボーナスが出るから、とか、新製品が気になったためとかではない。


 メインに使っていたレコードプレーヤーの限界を感じたためである。


 それまで30年ほどヤマハのGT2000というプレーヤーをメインに使ってきた。それがいよいよダメになってきたのである。

 メンテナンスはもちろんしてきたつもりなのだが、やはり経年劣化というものはどうしようもないらしい。良いプレーヤーで思い出もそれなりにあり、気に入っていたのだが、聞いていてどうにも不満を感じるようになってしまった。


 老いては麒麟も駑馬に劣る。まるで自分のようだ。


 いや違うな。自分は麒麟になったことなんてないからね。しかし駑馬が落ちたらいったい何になるのかね?


 まあ、ともかくも、とりあえずメインのレコードプレーヤーを購入せねばならないということになったわけだ。

 実はGT2000以外にもレコードプレーヤーはいくつか所持しており、そちらは問題なく使えるので「買わない」という選択肢もあるのはあるのだが……やはり欲しい。


 買わなくてもいいのだけれど。


 ホントに買わなくてもいいんだけど。


 やっぱり買っちゃおうかな。うん。


 ――こういったところが道楽なのだろうなあと思う。まったく物欲とは恐ろしいものである。


 そういうわけでふらふらと展示会場やなじみのショップをさまよっているうちに、これかなあというものが定まってきた。


 ヤマハのGT5000である。


 もしわかっている人がこの話を聞いたらハア~というため息をひとつついた後で、

「なにそれ、つまんない」

 とか言われそうだ。


 外見はほぼ同じ。音もほぼ同じ。そりゃつまらんよね。


 いやいや、でも、ダイレクトドライブじゃなくなったし、アームもショートだしその……


 違うのよ。やっぱり。というか


 好きなのよ、これが。しかたないじゃない。


 ……なにか、だらしない男に貢ぐ女性の気持ちがわかったような気がする。


 それは置いといて。


 音は音場型。どこまでも広がる音。そしてまじめな静けさ。


 音を言葉で説明することは難しい。そのため音楽用の特殊な表現がある。その表現のひとつ、音場とは広がりのこと。部屋いっぱいにオーケストラが広がれば音場が広いという。逆にスピーカーの真ん中に集まってしまうのは音場が狭いということ。スマホのスピーカーから出る音は音場が狭い。

 ちなみに読み方は今は「おんば」なのかな? 昔はみんな「おんじょう」って言ってたけど。なろうの読むプロの人はどう思います? じつはこの読み方だけでもオーディオマニアは喧嘩できます。ほんと直情径行ですな。私は読み方なんてそんなことどうでもいいと思うんだけどね。


 閑話休題。さてそれ以外にも音像という言葉もある。これはトランペットが右上で鳴ってるとかヴィオラがその前で鳴ってるとかが、きちんとわかるかどうかということ。これが弱いと今鳴っている音が第一バイオリンなのか第二バイオリンなのかがわからなくなる。


 一般にスピーカーも含めてオーディオ機器は音場型、音像型と別れることが多い。というかどちらかを目指すといった感じかな。


 音場型はどちらかというと暖かい音とも言われる。音像型はハイファイなんていわれる。一方で音場型はぼやけた音、音像型は音楽性がないとか。まあいろいろ。

 どちらがいいかは好み・よく聞く音楽によって変わる。


 私は音場型が好みだ。特にレコードを聞くときは。


 あと木製というのが好きなのかもしれない。家にあるプレーヤーは木製が多い。新しいプレーヤーを買う時、まよったあげく金属製のテクニクスSL1200系を選択しなかったのは、無意識ではあるが、そんなことを感じていたためだろうか。


 実は木製と金属製の違いはほとんどない。木製と言っても将棋盤のように中まで木でつまってるわけではなく、箱みたいに木で覆ってるだけだし。


 でもね。


 やっぱり良いものはいいんですよ。自分にとっては。


 人生のパートナーを決めるときもそうなのかな? 好きになったらちょっとぐらい中身がアレても、まあそれでもいいんだよ、とかなんとか。あれじゃなきゃダメなんだよ。とか。


 なんだか笑ってしまう。



 そういうわけで、新しいプレーヤーは購入後、お気に入りのプレーヤーとなりました。




 あまり寒いと軸受けが固まるけどねw ストーブ必須です。ホントいろいろなところが、うちの嫁と一緒だねえ。

 


蛇足

SL1200はひとつ昔のですが所持してまして、嫌いと言ってるわけではないのです。そのあたりは誤解しないでくださいね。


ではよろしければまた次回もお願いいたします。ご覧くださりありがとうございました。


蛇足の蛇足


当時GT5000は定価で60万円でした。値引きしてもらって50万ちょっとで買えました。今は色違いの高いバージョンだと99万円(税込)だそうです。なんというか……こんな値段になってしまうとね~。困ったものです。


しかも一年待ちだって^^;

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