第120章 勇者の道標
死者の森へ行くことになったフレイザー兄妹であった。
ジェロムとギネヴィアの婚礼が終わった後、フレイザー兄妹の行く先が死者の森だった。
「まさか、死者の森へ行くことになるだなんて」「ソフィア、俺には何かを気にした方が」
フレイザー兄妹は戸惑っていた。
死者の森とは、長い歴史の中で、数多くの大きな争いで命を落とした者の魂を天に返す道標として、エルフやドワーフや獣人などの亜人族が住む場所である。死者の森を抜ければ、勇者の道標の一部である古代遺跡が存在する。
勇者の道標は、タロットカードの魔王相手に戦い命を落とした者の魂を鎮め、天界へ送るというものであった。
「しかし、勇者の道標には、何かあるのでは?」
ケントは、次の旅先となる場所が、古代遺跡に伝説の秘宝である勇者ジギーが残した遺産が眠ると思った。
フレイザー兄妹には炎の痣があるが、その力は、まだそんなに多く使いこなせていない。
「ケント、俺を守ってくれるよな。さもないと、死ぬかもしれないんだよ~」
「リドリー、何なんだよ。『死ぬ死ぬ』ばっかり言って、聖騎士らしくないぞ」
「だって、ケントが居ないと、魔物が怖くて、俺殺されちまうだろ」
「リドリー、やめなさい。お兄ちゃんと私は、あんたと同じ理由で聖騎士になったわけじゃないんだからね。それと、命を捨てる覚悟は、誰にでもある。お兄ちゃんも私も、同じよ。なのに、あんたってやつは、恐怖に怯えすぎだよ。だらしない」
リドリーは、「え~なんでだよ」と、言う。
「ケント、次に行くところは死者の森だろ」
サイラスもリドリーと共にフレイザー兄妹の旅に同行することになった。
一方、暗黒魔界城では、大魔王が次なる手を打とうとしていた。
「大魔王様、次なる手は?」
「『審判』の魔王を呼べ、あいつなら炎の痣を持つ者に対抗できるがな」
「御意!」
(しかし、我としてはこれまでに多くの部下を失ったが、それはいい教訓となったようだ。早いところ、あの忌々しき勇者の末裔を殺せる力を取り戻さなければなるまい)
暗黒魔界城の片隅にある場所では、四天王が話し合っていた。
「サロメ、何か言え」「はい、シス様。この私が言うには、我等四天王が恐れていたあの聖騎士についてですが……」
「ふむ、あの聖騎士とは。詳しく教えてくれないか?」「はい。それによりますと、あの聖騎士は、既に聖騎士をやめている老人です。此者には、兄がいて、彼の孫にあたるのが、炎の痣を持つ兄妹であります」「お待ちを」「何なのだスロース?」「あの若造にあって、あの小娘にはないものがあるのだが....…」「歴代の継承者が使う力だろ。違うか?」「その通りでございます」
「さてと、もうじきレノーアが戻ってくるようだ」
そこに、レノーアが来て、「シス様、サロメ様、スロース様、ただいま戻りました」とレノーアが言った。
「これでやっと四天王が揃ったようだな」
フレイザー兄妹は、勇者の道標を聞いて、大魔王に対抗できる唯一の武器の在処を知らない。
「ケント、ソフィア、例えお前達兄妹は炎の痣を持っていても、勇者の道標は危険が多い」
死者の森編スタート。
フレイザー兄妹は、勇者の道標を辿れた者の血筋を引いていることが大魔王に対抗できる手がかりであることに気が付いていない。
登場するタロットカードの魔王は、「審判」。