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第118章 純粋なる心、忘れずに

 タロットカード「恋人」の魔王である兄妹を倒した後、ケントは何かの記憶を見る。

 ケントは、地面に転がっていたふたつの首に手を当てる。

クラインと、エレミアが消滅する前に、フレイザー兄妹に語り掛ける。

「お前等、本当に俺たち兄妹が丹精込めて作ったお菓子の城はすごかったのか……?」

「あぁ、お前らの作ったお菓子の城は、本当にすごかった」

「それは良かったもんだな……」

「それより、お前は人間だったのか?」

「そうですわ」

タロットカード「恋人」の魔王であるクラインとエレミアは元人間だった。

「どうして、あなた達は罪のない人達の命を奪おうとしたの? 教えてほしい」

「それは言えないのですわ。ただ単に、周りの人達から正しいことをしたことを認められてほしくて……」

「俺たち兄妹は、これから先の子供達を幸せにしたくて、子供達の笑顔を守りたかっただけなのに……、くだらないと言った連中が許せなかったんだ……」

「それが、罪のない人達の命を奪い取ったの? 一体誰がこんなことを?」

「そっ……それは、あの方だ……」

クラインは、ケントとソフィアに事情と真実を語ろうとした。

 ことの発端は、クラインとエレミアが幼い頃に遡る。

クラインとエレミアは、お菓子作りが好きな子供として、裕福な家庭に生まれ育った。

「お母さん、出来たよ」

「あらまぁ、素敵じゃない。頑張ったご褒美として、あなた達が作ったお菓子を美味しく食べてね」

クラインとエレミアは、母親に褒められて嬉しかった。

「はーい」

創造性豊かに美味しいお菓子を作る兄妹は、やがて、みんなに美味しいことを認められたがるようになりました。

ところが、兄妹の事を好ましくないという輩が出てきます。

「こんなもの、お菓子と言えるか! 虫歯の元になるものなんて、不味いもんに決まってる」

「お前たちのような、クソガキが作ったものなど食わん」

「この貧乏人が!」

「こんなもの、こうしてやる」

「やめて、せっかく私たちが丹精込めて作った食べ物を粗末にしないで」

兄妹は、あまりにも、ひどい仕打ちを受けてしまい、心を壊されてしまいました。

その後、兄妹の両親は亡くなり、兄妹はかつてないほどの悲しみに立ち直れなかった。

そこに、何者かが来ます。

「君達は、何かお困りかね?」

「妹のエレミアが、深く悲しんでしまって、両親は死んでしまったんだ」

「おやおや、それは、つらいねぇ。でも、大丈夫だ、この私が君たちの力になろう」

何者かは、悲しむ兄妹の気持ちを理解した。

「これを持っておくと良い」

「これは何?」

「いいか、これは秘密だよ。これを無くさないでね」

何者かは。兄妹を元気づけた。

「ありがとう。約束するよ」

立ち直った兄妹は、もう一度、お菓子を作りました。

とある日、いつものように兄妹の前に、またしても、兄妹の事を好ましくないという輩が出てきます。

クラインは、こう思った。(今度こそは、あいつらの思い通りにさせるわけには行かないんだ)

「また、不味いもん作ってんだろうな」

「所詮、貧乏人は、貧乏人だ」

「俺は、このお菓子など、美味しいは認めん」

兄妹は、周囲から、冷たい視線を強いられた。

「やめろ、何をするんだ。やめないと俺が許さない」

またしても、兄妹が作ったお菓子を壊そうとします。

その時、何者かから貰ったものが、強い反応を示しはじめ、兄妹は精神が豹変し始めます。

「食べ物を粗末にしないでとあれほど言ったのに何で同じことをするの?」

「何言ってんだお前?」

「食べ物を粗末にすると、どうなるのか、分かっているんだよね」

「お前達のことは、もう許さない」

クラインとエレミアは、魔物へと変貌を遂げる。

「やっ……、ヤバいぃ!」

クラインは、輩の方に向かって行きます。

「俺達兄妹に対する仕打ちをしたこと、死んで後悔しろ! お前達は、この世に生きる資格はない」

何者かから貰ったものはタロットカードでした。

クラインは、多くの輩をお菓子に変え、兄妹仲良く食べたのでした。

何者かはクラインとエレミアを見て、「これより君たちは、タロットカードの魔王になるのを認めることを、私はここに宣言する」と言った。

 「それで、こんな事をしたの?」

「お前の言う通りだ。皆の笑顔を守りたかっただけなのに、それを踏みにじる人達が許せなかったんだ」

「お兄様とわたくしは、純粋なる心を欲しかった」

クラインとエレミアは、純粋なる心を忘れ去られた事を後悔した。

ケントはふと思う。(ギネヴィアには、純粋なる心があったのか? 彼奴等は、純粋なる心を欲しがっていた。だが、俺には理解出来ない。でも、仕方ないことだ)

クラインとエレミアは、消滅する前に、フレイザー兄妹に言った。

「幼い頃の記憶を……、思い出させてくれて感謝し……ますわ……」

「俺達みたいに……、なるなよ……。純粋なる心を失うから……、なっ……」

 クラインとエレミアは、純粋なる心を思い出した後、身体は消滅した。

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