第99章 苦手なものは無い
聖騎士団は、タロットカード「戦車」の魔王を追い詰めた。
フレイザー兄妹は、聖騎士団の所へ戻った。
「ケント、ソフィア、遅いぞ。一体君達は今まで何していたんだ?」
「皆、すまない寄り道してた」
「私とお兄ちゃんは、ある部屋で不穏な気配を感じて入ったら、そこにいた何者かに会って、こんなことを言われた」
「何て言われた?」
「タロットカード『魔術師』の魔王グラナードと名乗っていた」
ソフィアが言うには、恐ろしいことを行っているのはタロットカード「魔術師」の魔王グラナードであることを説明した。
「そうか、だがなぜ我らが倒そうとしている魔王とは違う別の魔王がいるのだ?」
「分からない。でも、私とお兄ちゃんを襲うような行動はしていなかった」
「グラナードが言うには、これまでに、俺たちが倒してきた魔王の中には、元は人間だったものが居た。それと、悪夢の館から誰も生きて帰さないと言った」
およそ、数時間前、バルログはグラナードにこんなことを言われたのだ。
「バルログ、お前の家族はどいつもこいつも皆クズだったな」
「何を言うんだ。ただ単に、家族の営みをしていただけだ。クズ呼ばわりするなんて」
グラナードは、あまりにもムカつくほどの口答えをし過ぎるバルログに対して、手出しをする。
「そんな甘ったれな口答えで、何が分かるんだ!?」
すると、バルログは体がバラバラに崩れたが、あっという間に元通りになった。
「よっ……、よくもやりあがったな。僕の家族は、一度も手出しをしていないのに。なんで、殴るんだよ」
「おっと、すまない。君が苦手なものは無いということを、私は全く知らなかった」
「それなのに、あの連中のせいで、僕の家族は皆殺しになったんだ。あの連中さえいなければ、僕たち家族は魔王並みの力を取り戻せたのに。大魔王様は、僕に命令したんだ。『お主の家族には、タロットカードを取り戻すチャンスを与えよう』」
「なるほどな。それじゃあ、あの連中を殺せ。では、私はこの辺で失礼させていただくとしよう」
そう言うと、グラナードは、悪夢の館から去って行った。
「あいつが居るのはここに間違いない」
ケントは、「戦車」の魔王バルログが居ると思われる部屋の前を見つけ、みんなに言う。
「いいか皆の者、『戦車』の魔王を倒すために、気を引き締めて突入するぞ」
「おぉっー!」
ケント達聖騎士団は、バルログの部屋に入る。
「我ら聖騎士団は、遂にお前を追い詰めたぞ」「なっ……、何なんだ、君たちは?」
「ここで、お前を倒す」「そんなことさせてたまるか。倒されるのは、君たちの方だ!」
聖騎士団は、一斉にタロットカード「戦車」の魔王バルログにたたみかけようとします。
しかし、何度も攻撃が当たったにもかかわらず、バルログは、すぐに立ち直ります。
「そんな小細工、僕には通用しないよ」
「こいつ、何をしても倒すことが出来ない。どうすれば良いんだ?」
聖騎士団は、タロットカード「戦車」の魔王バルログと対峙する。
バルログは不死の体質である事に、聖騎士団は戸惑う。