第98章 「魔術師」との遭遇
フレイザー兄妹は、逃げた「戦車」の魔王を追う途中、何者かと遭遇する。
「あのガイコツは何処へ逃げた? 見つけたら絶対に倒さなければならない」
聖騎士団は、バルログを見つけ出そうと後を追う。
フレイザー兄妹は、途中何かの音を聞き、アーサー達から離れます。
「ソフィア、どうしたんだ?」「何か、この部屋から、音が聞こえる」
ケントは、何かの音がする扉に耳を立てる。
「本当だ。だが、何だこの音は? それと、嫌な予感がする」
とある部屋では、タロットカード「魔術師」の魔王グラナードが何かを行っていた。
「ふふふふふふっ。いいね、いいね。この死体は実に興味深い。こいつを、私の手で魔族にしてやるとしようか」
グラナードは、誰にも気づかれないようによからぬことを行っていた。
「ん……? 待てよ。何だこの匂いは? それと、誰かがここに来たのか?」と、グラナードは、何かに気が付きます。
フレイザー兄妹は、部屋の扉を開けて入ったのです。
「ここに居るのは分かっておるぞ。返事しろ」と、グラナードは、振り向く。
「何だここは?」
フレイザー兄妹が辺り一面を見渡すと、グラナードに気付かれる。
「どこからどう見ても、人間ではないか」
「そうだ。俺達は人間だ」
「何をしに、ここに来たのだ?」
「何か怪しそうな気配が漂っているから、ここに入ってきただけだ」
「それが、お前たちが私に対する質問の答えならば、度胸だけは認めてやろう」
「それより、あんた、名を名乗りなさい」
「よかろう。私の名は、タロットカード『魔術師』の魔王グラナード」
フレイザー兄妹は、タロットカード「魔術師」の魔王グラナードの周りに死体があるのを見る。
(目の前には、死体が)「おいお前、そいつから離れろ」
咄嗟の判断でケントが言う。
所変わって、聖騎士団は、途中で足を止めます。
「ケントが居ない」
「ソフィアもよ」
「また何かあったらどうすんだよ」
「あのふたりはどこで今何しているんだ? 『戦車』の魔王を倒さねばならないと言うのにどこ行った?」
フレイザー兄妹が居ないことに気く。
フレイザー兄妹は、グラナードが、死体に手をかけていた。
「その死体は、希少価値のある血肉を持つ人間よ」とソフィアが言う。
「違うね。確かにこの死体は人間だが、希少価値など無い」グラナードは、きっぱりと否定した。
「俺達は、タロットカード『戦車』の魔王を倒すためにこの館にに来た」
「ほぉ、そんな目的でこの館に入ったのか。最後に良いことを一言だけお前たちに教えてやろう。って、これだけは、本当に言いたくなかったが、よく聞くがいい」
グラナードは、悪夢の館から立ち去る前に言うべきでなかった真実を言う。
「これまでにお前たちが倒した私の眷属である魔王は、いづれも、元から魔物ではないのが居たのだ」
「聖騎士団に入るために受けた試験で現れたあの魔王や、俺達兄妹の親友の故郷に現れた魔王のことか?」
「その通り、あいつらは、元人間だ。それと、今お前達が倒そうとしているあの魔王とその家族も元人間だ。大魔王様は、あの連中にタロットカードを与えるように命令した。それを行ったのはこの私だ」
「そんなことをしたの? 許せない」
「ふんっ。お前たちは、その怒りを私にぶつけるのも今の内だ。どうせ、この館から生きて帰すわけには行かんのだ。それじゃあ、さらばだ」
フレイザー兄妹は、タロットカード「魔術師」の魔王グラナードから、悪夢の館から生きては帰れないと言われた。
フレイザー兄妹は、「魔術師」の魔王グラナードが去った後、部屋を出て、聖騎士団の所に戻る。