第97章 不死の「戦車」
フレイザー兄妹を見つけ出し、囚われの身になっている人達を助け出すことが出来た聖騎士団は、ギネヴィアを見つけて、「戦車」の魔王バルログとの全面対決に挑む。
囚われの身になっている人達を見つけた聖騎士団は、ギネヴィアが居ないことに気づき、館中を探すことにした。
「ギネヴィアは、大丈夫なのか? 無事だと良いんだが……」「彼女はきっと大丈夫だ。心配しないほうが良さそうだ」
一方、ギネヴィアは、「これで、ようやく片付いたかな? 一休みしておこう」と、無数にいた犬猫ガイコツを全て倒したことで体力を消耗していた。
(それにしても……、大勢の敵に対して、私一人で戦ったから手強さを思い知ってしまった)
その頃バルログは、部屋で「なんで皆やられたんだよ。これじゃあ僕は孤独だよ」と、家族が聖騎士団にやられたことを受け、苛立ちを露にした。
ケントは、「もしこの館に、囚われていた人達の死体を見つけたら埋葬してくれ。それと、まだ『戦車』の魔王と戦う事はしないように」と、聖騎士団に言い伝えた。
ギネヴィアを探すように館内を見回ったところ、ガイコツ騎士一家に殺された人達は誰も居なかった。
「よし、誰も殺されていない。皆、先を進むとしようか」
「そうね」
聖騎士団は、中庭でギネヴィアを見つける。
「ギネヴィア。お前、大丈夫か?」
「ほへー……。あの犬猫ガイコツは、全部ザコだった」
「だめだこいつ。完璧にアホになってる」
「あらら」
ギネヴィアは、無数の魔物相手に戦い、体力を消耗すると知能が低下するという体質であることは、他の誰にを知られていない。
聖騎士団は、玄関ホールまで戻り、ギネヴィアが戦えないほど体力を消耗していたことを皮肉った時、タロットカード「戦車」の魔王バルログと遭遇する。
「見つけたぞ。よくも……、よくも僕の家族を皆殺しにしたな」
「お前、何を言っている?」
「空腹になっていたのに、この館は、僕達ガイコツ騎士一家の縄張りだ。そして、今から食べようとしていたあの連中は獲物だったんだ」
(こいつ、怒りをあらわにしている。うかつに近寄って手を出すことはできない)
「聞け、俺の名は、ケントだ。お前は、なぜ希少価値のある血肉の人間を食べようとしたんだ? お前は、何のために、その人たちを悪夢の館に捕らえたんだ?」
「そうよ、希少価値のある血肉の人間は、私たち聖騎士団が取り返した。絶対に、あんたなんかに渡すわけにはいかない」
「腹立たしいぞ。あの連中さえ、僕達家族みんなで食べれば、魔王並みの力が取り戻せたんだ。なのに、僕達家族の邪魔をするなんて、許せない」
ケントは、バルログに攻撃を仕掛ける。
しかし、バルログは、体が元通りになる。
(なんだコイツ? 死なないぞ)
バルログは、骨一本取りだして、甲冑を叩き音を立てて鳴らす。
(部屋が回った)「みんな用心するんだ」
不規則に回転する部屋で聖騎士団は、体制を崩す。
フレイザー兄妹は、何とか持ちこたえた。不規則に回転する部屋が元に戻り、聖騎士団は体制を立て直す。「皆大丈夫?」
「あぁ何とか」
「バルログ、お前は何をするつもりだったんだ?」
「知る事などない」と言いながらバルログは部屋を去る。
「逃げるな化け物め!」と、ルドガーは、怒号を挙げる。
タロットカード「戦車」の魔王バルログは、聖騎士団のいる部屋から逃げる。
フレイザー兄妹は、バルログを追いかけることにした。