第96章 偽りの家族愛
「戦車」の魔王がフレイザー兄妹に近づこうとしている。
フレイザー兄妹を探している聖騎士団は、手分けしてガイコツ騎士一家と対峙しており、急いで合流しないといけないことが判明した。
「フレイザー兄妹は、何処にいるんだ? 早くしとかないと、奴に襲われるかもしれない」
ブライアンは、ガイコツ騎士(長女)と戦い倒したことにより、アーサーのところへ向かう。
リドリーは、ガイコツ騎士(次女)が狂気に満ちていることを知ってしまう。
「あの女が、俺を食べようとするつもりだ。それよりも、ケントはどこなんだよ」
バルログは、「腹減った。そろそろ、食料を取りに行くとするか」と、悪夢の館の廊下を歩き出す。
バルログがたどり着いた部屋の扉を開けると、中が空になっていた。
「ん? 食料が無い。一体全体、どうなっている? なんで食料が消えるんだ?」
バルログは、食べようとした人が居ないことに、不信感を募らせ、その場を去って行った。
フレイザー兄妹は、魔王が遠ざかると、気配を現す。
「何とか、やり過ごせた」
フレイザー兄妹は、聖騎士団との合流を待つ。
リドリーは、ガイコツ騎(次女)から逃げ続けた結果、逃げ場を失い、精神的にも肉体的にも追い詰められてしまう。
「何てことだ、どこまでも追いかけられる俺は、絶望するしか無いのか?」
「ここで、あなたが死ぬのを家族みんなに見せちゃうよ。諦めちゃえ」
リドリーが危機に瀕した時、リドリーの脳裏に誰かの声が聞こえます。
『諦めてはならぬ。そうでなければ、お前は補習を受けるところだったんだぞ』
「はぁっ……。そうだ、思い出した。カーロフ先生は、俺に対してこんなことをよく言ってた。なんだか戦意が湧き出してくる」
かつて、学校でリドリーの担任をしていた、先生の言葉を忘れる事無く心に刻んだおかげで、戦意が上がる。
「こんなところで、俺は死を恐れるわけには行かない」
リドリーは、フレイザー兄妹の無事を祈るように、ガイコツ騎士(次女)に立ち向かう。
「やれるものなら、やってみなさい。どうせ、あたしには勝てないわよ」「黙れ! そんな戯言を言っていられるのも今のうちだ。俺は、絶対にお前をここで倒してやる」
リドリーは、「こいつでも喰らえ! ブリッツブレイクエスパーダ!」と、決死の一撃を出しガイコツ騎士(次女)を倒した。
「ぎゃーーー! バラバラになっている!」
ガイコツ騎士(次女)が倒れた姿を見たリドリーは、悲鳴をあげて、大急ぎでその場を去る。
「なんでこうなるの? うぁーーん。お兄ちゃん、やられちゃったよ」
そこに通りがかったバルログは、「どっ……、どうなっている? どうしたんだ? 一体誰にやられたんだ? 他の皆は?」と、ガイコツ騎士(次女)に駆け寄る。
リドリーは、アーサーの元に辿り着いた。
「遅いぞリドリー。どこへ行ってた?」
「すまない、遅れてしまった。ケントを探しに行ってただけなのに、敵が強すぎたけど、何とか倒せた」
聖騎士団は、フレイザー兄妹が居る部屋の扉を見つけた。
扉を開けると、フレイザー兄妹は、聖騎士団と合流。
「ケント、ソフィア、無事か?」「あぁ、なんとか」「お兄ちゃんと私は、この館に囚われの身になっている人達が居る場所を探し当てた。皆は無事よ」
囚われの身になっている人達は、ソフィアの帽子の中にいて全員無事であることが確認された。
スチュアートは、周りを見て目を疑う。
「皆待ってくれ。ギネヴィアが居ないよ」
「全くだ。あの女、一体どこで何やっているんだ?」
「放っておけ、直に来ると思う」
フレイザー兄妹を見つけ出すことが出来た聖騎士団は、囚われの身になっている人達を助け出すことに成功したが、ギネヴィアが居ない状況にあった。