第94章 希少価値のある血肉
フレイザー兄妹は、気が付くと見知らぬ部屋にいた。
悪夢の館に入った聖騎士団は、フレイザー兄妹がいないことに気づき、手分けして、探すことになった。
「扉を開ける度に、部屋が変わるとは、どこかに罠を止める部屋があるはずだ。そうじゃなけば、『戦車』の魔王が我ら聖騎士団を襲って来るだろう」
「ケントとソフィアがいない今、俺たちはどうやって魔物と戦えばいいんだ? これじゃどうしようもない」
「とりあえず部屋の扉を一つづつ開けるしかないだろ」
ブライアンの提案を拒むものは誰もいなかった。
「ケント、ソフィア、どこ行っちまったんだよ?」
リドリーは、フレイザー兄妹のことを心配そうに言う。
フレイザー兄妹は、とある部屋に居た。
「しかし、なんてことだ。部屋が回って、落っこちてしまうとは」「お兄ちゃん、それよりも、この館に囚われの身になっている人達を助け出すことを優先して、魔王をたおさなきゃ」「そうだな。だけと、一体何処にいるのか分からねぇ。この敷地の外にはいないというのはわかっている」
フレイザー兄妹は、この部屋で魔物が来ることを警戒していた。
「今、俺とソフィアがいる部屋は一体どうなっているんだ? これじゃ、検討もつかない」「こうなったら、魔物に遭遇しないように、扉を開けるしかないよ」
ケントは、恐る恐る扉を開ける。
「よし、誰もいない」
開けた扉の先が悪夢の館本館の廊下になっており、ケントは、辺り一面を見渡す。
「扉がたくさんある。でも、一体どの扉がどんな部屋になっているのか分からない。確か、囚われの身になっている人達は、希少価値のある血肉とか言っていた」
「そうねお兄ちゃん。とにかく囚われの身になっている人たちを探しましょ」
フレイザー兄妹は、囚われの身になっている人達を探すため、廊下にあるそれぞれの扉を開ける。
その時、部屋の扉が2つある部屋に入ったフレイザー兄妹は、もう片方が開いていることに気付く。
一方、「戦車」の魔王バルログの部屋では、ガイコツ騎士(三男)とバルログが不穏な会話をしていた。「兄上、何か言ってくれ」「バルログ、どうやら、怪しいネズミどもがこの館に、こそこそ嗅ぎまわっているようだ」
「こうなったら、やっつけに行くしかない」
フレイザー兄妹を手分けして探している聖騎士団は、それぞれの部屋に入る。
「ケント、どこいるの? おかしいな。この部屋じゃない」
「ケント、ソフィア、どこ? 居るなら返事してくれ」
それぞれ部屋の扉を開けても、フレイザー兄妹の姿はありませんでした。
「なるだけ魔物に遭遇しないように進むしかない。ケント、ソフィア、どうか無事でいてくれ」
フレイザー兄妹と聖騎士団は、悪夢の館に囚われの身になっている人達を助け出し、脱出することが出来るのか?
「戦車」の魔王が動き出し始めようとしている。