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月夜譚 【No.1~No.100】

戦 【月夜譚No.33】

作者: 夏月七葉

 この戦場を、槍一本で生き抜くと決めた。

 この命、惜しいということはない。忠誠を誓った王の為に失うのであれば、本望でさえある。

 だが、刃を向けられると、ふと脳裏を過るのだ。自分がいなくなった時、この世界は――残してしまった家族や知人はどうなってしまうのだろうと。

 この先、自分がいることで守れるものがあるのかもしれない。未来のことなど分かりはしないが、そう思わずにはいられないのだ。

 それに何より、皆に悲しみを残していきたくはないのだ。会うことも話すことも叶わなくなってしまったら、大事な人達に最後に一言も伝えられなくなってしまう。

 そんなことになったら、どんなに後悔することだろう。

 だから、ここで死ぬわけにはいかないのだ。

 旗色の悪くなった自陣に敵兵が流れ込んで、辺りは渾然としている。ともすれば、敵も味方も判らなくなる瞬間がある。

 しかし的確に敵を見極め、男は槍を振るう。自分も味方も、これ以上殺されてなるものか。

 その双眸には、強い意志の光が宿っていた。


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― 新着の感想 ―
[一言]  「自分がいることで守れるものがあるのかもしれない」と思いつつ、しかし今戦わなければ、家族諸共全滅するかもしれない。だからこそ、死ぬ訳にはいかない……。  戦場の兵の中で、こうして戦意を保…
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