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窪み

ここは垢が溜まりやすい。

ピクシブ2015年4月21日公開。

「今日はあんまり綺麗じゃないですよ」

そういって耳にかかる髪を、後ろにかける。

「何回君の耳を掃除していると思ってるんだい?」

もう数えきれないほど、その耳を掃除している。

「何を今更…ですか」

「そういうことだね」

耳かきを手に持ち、笑顔を浮かべているが、その笑顔は蠱惑的であった。

男性ということもあり、耳の穴は大きく、この耳の掃除のしやすさが気に入っている。

例えばこの窪み。

コリコリコリ…

耳の中のすぐ手前側にあるのだが、この窪みにはいつも耳垢がたまっている。

そしてこの窪みを耳かきで掃除されるのがとても気持ちがいいらしく、そこを掃除しなければ…

「この間、耳掃除をしてくれた所をしてもらいたいのですが」

おねだりするようになっていた。

「ここかな?」

探るように耳かきでカリカリしてあげると。

口元に手を当てて、快楽を我慢していた。

「さすがに気持ちいいです」

「ふっふっ、だって私はこの耳が気に入っているんだもの」

そういって頭を撫でてやる。

その後に耳かきに戻る。

今日は少し暑かったせいもあってか、耳の中も湿っていた。

ガサガサ

大きな音がする、耳垢に耳かきが当たっているようだ。

ここかな?と思われる位置を狙って、耳かきを動かすと。

ピクッ

背筋が反応する。

「動いたら危ないよ」

そう嗜めながらも、耳かきを耳の中から引き抜くと、大きな固まりがさじに引っ掛かるように繋がっていた。

「これはずいぶん大きいのがとれてね、こっちの耳は耳かきおしまいにして、綿棒できれいにしてあげるからね」

そういって、今まで耳かきをしたところを綿棒で拭いてあげる。

細かい耳垢が、綿棒にかけらのように散らばって、それを三本繰返し、綿棒に汚れがつかなくなったので、右耳はおしまいにした。

「じゃあ、次は左耳だ」

左耳は細いので、ちょっとだけ苦手だけど、丁寧にやれば大丈夫、面倒くさいって思ったら、耳かきなんてできやしない。

「左耳は前まで普通に耳かきさせてくれたのにね」

「それはわかっているのですが…」

くすぐったいらしい。

でもそれもちょっと奥の方に耳かきをいれると、修まってくる。

コリコリコリ

左耳は右耳よりも溜まりづらいが、それでも垢というものはあって。

クルクル…

円をかく動きをしてあげると、とても喜ぶ。

「こんなに耳かきが好きだって知らなかったよ、それとも耳かきが好きになっちゃったのかな?」

意地悪な事を聞いてみる。


「じゃあ、次はこちらの番ですね」

耳かきをしてあげると、次はされる番なのである。

いつの間にかそうなった。

最初はしてあげるだけだったけど…

「いいから、いいから」

何となく耳かきされることになってしまった。

「耳かきなんてできるの?」

「そういわれると、ちょっと自信がないかな、というか、耳かきはしてみたい欲求があるというか、なんというか…」

言葉を濁したので。

「じゃあ、綿棒でしてみなよ、それなら大丈夫かな」

髪を束ねて、ドキドキしながら綿棒で掃除されることになった。

「痛かったらごめんなさい」

「無理をしなければいいんじゃないかな」

そういわれたら、気が楽になったらしく、綿棒が耳の縁に当てられると、そのまま辺りを拭きとり始めた。

ざっざっ

耳垢と綿棒が擦れる音がする。

しかし、綿棒ではすくいとれないらしく、何度か綿棒は同じ場所をざりざりと転がしてくるが。

「そういうときこそ、耳かきとか、ピンセットではないかな」

「あぁ、ピンセットもあるのか」

「あるんじゃないの、こういうときは」

「今度までに用意しておきます」

そういって綿棒から耳かきに持ちかえる。

コリコリコリコリコリ……カリ!

取れた。

「結構大きいのがとれました、とれるものですね」

「耳の中だし、あるんじゃないかな、しかし、人に耳の中を見られるのは恥ずかしいものだね」

「そうですか?」

「慣れてないからだとも思うよ、耳かきを人にされるの小学校以来じゃないかな」

それ以降は自分でやる派。

「でも気持ち良かったでしょう?」

「膝枕で耳かきをしたがる人の気持ちはわかったよ、だってホッとするものね」

その時、今まで誰にも見せたこともないような優しい表情をしていた。

「まだ、…もうちょっと耳かきはしますからね」

この時何故か君は照れていた。耳かきをする君の方だっていうのに、なんであなたは照れるのかな?

「まだ耳かきは終わってないよ」

私は体を支える左手にそっと手を置くと、あなたは真っ赤になりながら、フリーズしていた。

普段はそんな風には見えないけども、私はあなたのそんなところが好きなのよ。

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