世間には
ピクシブ2011年5月3日投稿作品。「耳かきが好きで、好きで、しょうがない人たちがいます。優しくてあげましょう、無害です」当時の前書きより。
世の中には耳かきが好きすぎて、しょうがない人間がいるものですよ。
自分も含めて。
「理容師の耳かき研修は、理容師じゃないと、なんでいけないんだ!」
とたまたま耳かき研修の記事を見たら、僕は叫んでしまった。
「規則ですから!」
と言われたら、元もこうもない。元もこうもないかもしれないが、そこをなんとかぜひともお願いしたいものだ。
「ねぇ、してもいいですか?」
それとは別に許可を得て、とある右耳を訪問できることと相成った。
チャイムなどはない。
耳を覗くと、全体的に狭かった。
ちょっと困った。
耳かきは好きだ、が耳かきで苦労するのは嫌で、あくまで快楽追求型なのですよ、僕としては。
お邪魔します。
しかし、僕は訪ねることにした。
狭さ以外は、コンディションは決して悪くはない。
そういうプラスのポイントを見つけるのが、快楽追求型の耳かきで大事なことかもしれない。
耳かきをクルリと回してしまうと、ちょっと引っ掛かって、傷がついてしまうのが怖いわけで、耳かきのサジを進める、サジが耳の中を撫でたら、取れる、取れない関わらず、一回づつ耳の外に出した。
面倒かもしれないが、僕にはこれより上手い方法が残念ながら見つからなかったのだ。
パリ…パリパリ…パリ
獲物がサジに引っ掛かっている音がする、このリズムがないようなリズムが、とてもいい。
耳かきは意外性を楽しむ物だと思う。
うわ、こんなに大きいのが取れやがった。
そう感じるのが楽しい。
僕はあんまり、ケンカとか争い事が好きではないんだが、耳かきのためなら結構譲らないことが多いかもしれない。
「耳かきをしたいんだけどさ」
しつこいぐらいに言うと、逆効果だから、チャンスを逃さずがポイント。
「肩こり辛そうだね」
意外とこの台詞から攻めると、耳かきまでたどり着ける。
さあ、今日も楽しい耳かきの時間が始まりだよ。
愛用の道具を準備しながら、僕はだんだん興奮していった。