大丈夫じゃないことにした。
彼女は耳かきを覚えたらしい…
彼氏としては、是非ともそういうのをだな…膝枕でしてもらいたい(欲望駄々漏れ)
「で、…その…だ、耳かきというのは」
「したいの?」
「…ああ、そうだな、耳もそろそろ掃除しなきゃなって、イヤホンとかも汚れてきたし」
「わかりました」
yesなのか、それともnoなのかわからないような答えをしてはいたが、ポーチを1つ鞄から取り出して、後は紙?ティッシュじゃないな、キッチンペーパーみたいな模様が入っているやつ(エンボス加工)
「どうしたの?」
「いや、なんか普通にティッシュとか、耳かきでしないのかな?って」
「耳かきはこれ一つだけど、ティッシュは汚れ拭き取りにくいから、このキッチンペーパーみたいなやつ使っている」
これだと汚れがティッシュよりも、拭き取りやすいようだ。
「ちょっと失礼します」
そういって彼女が息のかかる距離までやってきて、耳を覗いている。
「あなたにしては珍しいわね、こんなに汚いなんて」
「最近はちょっと忙しかったからな」
「まあ、そうかもしれませんけど、髪も少し伸びてきましたね」
そこで指が軽く髪をかきあげてくれるので。
(時間よ、止まれ)
と願うぐらいである。
二人でいるときはこんな調子だ、たぶん他のやつらはこういう姿を見たら驚くことだろう。
「は~尊い」
「はいはい」
軽くあしらわれる、座ったままの状態で、竹の細い耳かきをあてて、その下にこぼれ落ちないように紙を敷いて、カリカリ…と、するとすぐにポロポロとこぼれ出していくか。
(この距離は緊張するな)
「奥にも大きいのがあるわね」
ピリ!
「動かない」
そこで硬直する。
しかし、彼女はふぅ~と耳に息をかけた。
「ば~か」
顔を見ると、イタズラな笑みを浮かべている。
ここで耳の中に耳かきが入ってきたら、どうなってしまうのだろうか。
「膝枕にします?」
「そういうのはまだちょっと早い…いえ、お願いします」
ここは見栄を張っている場合ではない。
「はいはい」
もう俺たちはこんな調子なのだ。
「どのぐらい練習したんだ?」
「そうね、結構したわね、今は色んなところで耳かき教えていたりするからね」
「そういうものなのか?」
「私がいったところは介護学校だったわよ、そこに理容師の人が講師で来てたわ」
ベットで人形相手に練習します。
「今は耳かき入れすぎると、鳴るからわかりやすいわよ」
音とランプでお知らせします、その
耳かき練習人形の名前はミミーちゃん。
今は耳かきの練習するなら人ではなく、ミミーちゃんで学ぶところが多いです。
「じゃあ、行きますよ」
耳の入り口の挨拶がわりに、サジがなぞった。
またピクッとなる。
「動かないでくださいよ」
円をかくように中へ、指では触れられないぐらい奥へ、そしてそこで着地をするようにくるっと耳かき返した。
大きなのが取れたようで、一回耳の中から耳かきがでていった。
エンボス加工のペーパーは、片手でも扱いやすいようで、すぐにまた耳の中に入ってくる。
カリ
固くなっている垢に当たる。そこを崩してはとり、崩しては片付けている。
今もしも自分に尾があれば、パタパタと自然と振りだしているだろう。
ぐっ
耳の穴、奥を覗くために少し広げた。
バリ
また大きいのがいたようだ。
だいたいこれで大きいものは取り除けたので、濡らした綿棒で細かい部分を拭き取る。
「はい、反対」
「ああ」
「こっちも汚れているわね」
サジで擦るように、耳垢を剥がしていく。
「あっ、大きいわね」
ごろんとしたものがサジの上に乗った。
ペーパーの上で鎮座する垢は、他の色とは違っている。
「前に掃除をしたときに取り忘れていたのかしらね」
「かもしれないな」
彼女の指が耳を広げ、耳の奥まで入ってきた。鼓膜まで後少し、ゴールが近い。
パリ
最後耳かきがしずらい溝から垢を剥がして終わりになった。
「はい、お疲れ様」
起き上がると、リラックスしすぎているせいか、瞼が下がっている。重くはないけども、なんだこりゃ。
「大丈夫?もうちょっと膝枕する?」
「だ…うん、お願いするか」
大丈夫って言いそうになった。大丈夫だったけど、大丈夫じゃないことにした。




