今宵の耳かきは餓えておるわ
新作。
「耳をだせい!今宵の耳かきは獲物に餓えておるわ」
彼女は耳かきの竹千代をクルクルと回した。本日は午後に電器店に行き、色々とお買い物をした中に、竹千代もあったようだ。
「そんなに汚くないから、大丈夫です(棒)」
そういって耳を隠した。
「いつもは耳かきをせがむくせに、こちらからしてやるといったのならば、その態度、許せん」
「もう…ここまでか」
耳を隠していた手を徐々に離していく。
「けどさ、本当にたまっている感がないんだよね」
「ふっ…この暑さよ、耳の中はムレムッレ、いつもはカサカサしている耳もどうなっているのか、わからないわよ!」
「でもいいの?」
「武士に二言はない」
そっか、彼女は武士だったか。
「もちろん膝枕ですよね」
「いいでしょ、本日はこちらから言い出しました、その膝枕受けてたちましょう」
「では耳を」
「大事に育てている耳ん中です、耳かきして良かった、そう思わせてください」
そういって耳の中を覗かれた。
「あ~ほら、やっぱりベタベタしてる」
ちょっと熱がこもった息がかかる。耳かきがそのまま入ってきて、軽くサジがかくだけで、サジの縁が黄色になっていく。
それをティッシュの上にとんとんと落としても、なかなか落ちないのでティッシュでぬぐった。
ベタついた耳垢と、絡まった毛が浅い部分からとれる、とれる。
「これは耳かき終わったら、綿棒で拭き取るわね」
彼女はサッパリンという、耳かき用の拭き取りのものも用意していた。
ダジャレ名なので、あの会社から発売したのかなって思われるでしょうが、違うようです。
サリ
奥の方、力を入れず、くるりと耳かきを返して、垢を取り出される。しかし、このタッチ、くすぐったい。
シュル
耳ん中で、耳かきが滑る。
ゾクゾクゾクゾク
いかん、これは、これはいかんですぞぉぉぉぉ。
「はい、黙る」
そこでボリンと大物を剥がされた。
「あら、どうしたのかしら、静かになって」
うぬぬぬぬぬ
「こんなに汚いのも溜め込んじゃってるしぃ」
こんな風に弄ばれたら、もっとねだるしかないだろう。
「そうはいうけど、ガサガサしちゃうって感じがまだあって」
「あら?そうなの?じゃあこれは念入りにやらなくちゃダメね」
そうです、その笑みです、その笑みを浮かべた彼女は、隅から隅まで妥協なく耳かきをしてくれるのです。
ジョリジョリ…
お毛毛もその後、綺麗に剃られてしまい、餓えた耳かきの前には、つるりとした耳しか残らないのでした…




