メロメロ
こちらはピクシブ不評のコメントがついた作品ですね。
「こちらでお休みになられていたのですか?」
私が声をかけると、年下の上司はソファーでうたた寝をしてる真っ最中であった。
「あぁ」
「ご自宅の方にお帰りになられてらよろしいのに」
「今は姉夫婦が来ていてな、さすがに帰った方が疲れそうだったもので」
「さようで、それでは寝るにしても寝床をきちんと作りますよ」
「すまない、そうしてくれるか」
出世組だけど、そこから多少はずれている新設部署のこのお方は上官ではあるが、若い男性らしく、仕事以外はちょっと出来ないので、秘書係が私ともう二人任命されている。
ガサゴソ
仮眠の場所を用意し終えると、上官殿は何かを探しておりました。
「あのさ、耳かきどこだっけ?」
「散髪屋に行かれたらどうでしょうか?」
「混んでるから、今日は行きたくない」
「こちらが耳かきです」
「サンキュー、ミチルさん」
「なんでしょ?」
「ミチルさんって、耳かき出来る?」
「衛生管理は受講してますが?」
「やってくれないかな、あっ、イヤならいいんだけど」
「宜しいですよ」
承諾してくれるとは思いませんでした。
「では…」
先ほどまでうたた寝していたソファーにミチルは座り。
「こちらへ」
「…こちらって」
「膝枕ですが、何か問題でも?」
膝枕の耳掃除に憧れない男は、まずいないと思うが、現実的にその場面が訪れたとき。
「いや、それはちょっと」
照れたり、動揺したり。
「男性は耳掃除がお好きだと聞きましたよ」
「それは否定しないけどな」
「きちんと練習しておりますし」
何だろう、ちょっとがっかりした。 「ノカの耳を何回掃除したかわかりません」
ノカはもう一人の秘書の方で、私と同じ年の女性である。
「もしかして、耳かきをしたことあるのは、ノカだけ?」
「ええ、そうですが」
何だろう、ちょっと安心した。
「そこに突っ立ってないで、耳かきしますから」
急かされるまま。
ゴロン。
耳掃除をすることになった。
「どちらの耳がかゆいんですか?」
「右耳の方」
「あらあら、いけませんね、結構汚いじゃありませんか」
「そう?」
スッ
竹の耳かきが耳の中で動いた瞬間、自分の背筋がゾゾーっとなり、鳥肌がぶわ!と浮いた。
コリコリ
「上官殿は耳掃除が下手くそに思われる」
カり!
そこで大きい塊のような物が剥がされる。
「こんなに溜め込んで、後で見せて差し上げますわ」
もうミチルの独壇場かもしれない。
ツー
わざとか、耳かきが耳の中を撫でてくる、そこで腰も浮いてくる。
「耳かきって、とても気持ちいいですもんね、ノカったら、最近じゃおねだりしてくるんですよ」
いや、ここまで気持ち良ければ、誰だっておねだりするんじゃないだろうか…
カリ!
「~はぁ」
肺から漏れるように声が出る。
「私の上官殿は、いつも頑張りすぎて大変ですからね、今日ぐらいはお休みになっていただきませんとね」
この人は本当に竹の耳かきで、耳掃除をしてるのだろうか、指か何かが耳の中で動いてるんじゃないだろうかと、勘違いしてしまう。
「まだちょっと緊張してますね」
そこはさっき耳掃除した箇所も再び攻めてくる。
クルクル
円を描いては奥に進んでくる。
びく!
その一点で、体が動いた。
「あっ…ここが気持ちいいいんですね、見つけちゃいましたけど、いいんですか?私に見つけられて」
どう言うこと?
「こういう気持ちいいところ見つけられて、耳かきされちゃうと、他の人の耳かきじゃ物足りなくなっちゃうみたいなんですよ、まあ、でもその場合は責任を持ってお仕えいたしますので、いつでもおっしゃってくださいね」
トントン
快楽のツボを耳かきで、トントンと軽くつつかれた所で、俺は記憶を失い、気がついたときには。
「首と肩のコリが無くなってる」
あれほどひどかったものが、抜けてしまった。
その後はミチルが言ってたとおり。
「ミチルさん、耳かきお願いします」
「わかりました、まあ、今日は大変お疲れのようですから、もうちょっと色々しましょうね」
笑顔で言うけども、その笑顔には色気というものがありましてですね、はい、男には逆らえないものがあるわけですよ。はい。
何をいいたいのかというとですね。
メロメロです。
俺はこの戦いに戦わずして落ちました。