夢を見る
そりゃ、楽しい未来でしょ。
2016年5月3日、ピクシブ公開。
「もう知りません」
今日、彼女にそんなことを言われてしまいました。
これはあれです。
(嫉妬です)
ちょっといきなり彼女の機嫌が悪くなりまして、なんで悪くなったのかなと思ったら。
「どういう子好きなの?」
って友達に聞かれて、それを素直に答えた後に機嫌が悪くなった。
(あれ、何かしたかな?)
思い当たる節などがなく。
えっ?まさか、と思ったのが、当たりでした。
「ねえ、こっちに来てよ」
そうお願いするのは無理もない、彼女は見える位置にはいるものの、さっきからずっと距離をとってばっかりなのである。
(どうしよう、仲直りの方法とか知らない)
けど、仲直りしたい。
無理に近づくとエルボーぐらいはくらいそうである。
この距離が本当にもどかしい。
君が遠い…
「俺さ」
「何よ」
「膝枕でいつもみたいに甘えながら、耳かきをしてもらいたいんだけど」
「それは私じゃなくてもいいんじゃないの」
こういうことをいってる時は、自信がなくて、不安になってる時なのである。
スッ!
距離を縮める。
少し不安になった表情に彼女はなっていた。
「悪かったよ」
そう彼は謝った。
「別にあなたが悪いわけじゃないでしょ、あなたは正直に答えただけなんだから」
「かもしれないけどもさ、一緒にいるときに、他の人の話されたら嫌でしょ」
「まあ、それはあるけど…」
「俺は聞きまくるけどもさ」
「何よそれ」
「えっ?色んな話は聞きたいって思うんだよ、出会う前のこととか知らないから」
「聞いてもおもしろい話じゃないでしょ」
「かもね、でもさ、一緒に過ごすってそういうもんじゃないのかなって思うんだよね」
「それはわからなくもない」
「でしょわ、というか、やっぱりあれ?機嫌が悪くなったのって、俺が友達と話してた、どんな子好きなのってやつでしょ」
「…うん、そう、なんか聞いたら、ちょっと冷静ではいられなくなったわ」
「あきらかにいつもの調子じゃなかったなっては思ったけど、まさかそれだとは思わなかった」
「なんでさ」
「いや、どっちかっていうと、俺の方が嫉妬する感じだったからな、俺のいない時の話ってさ、聞いててちょっと辛いとがあるんだよね、具体的にいうと、なんでもっと早くに会わなかったのだろうかと」
昔の写真見せてもらったら、とってもよかったです。
「憎い、運命が憎い」
「なんでそんな憎しみが」
「こんなかわいい子がいたのならば、放ってはおきませんよ!」
「いや、そういうのはあなたぐらいだよ、ずいぶんと奇特な方ですね」
「何をおっしゃいます!あなたは自分の魅力にお気づきではないのか!」
ちなみに彼女はおっさんにもてるので、おっさんに威嚇したくなります。
(あのおっさんめ、女の子はこれぐらいな方が可愛いよって誉めちゃってさ、これぐらいってなんなのさ!)
しかも、その誉め方彼女には効果抜群でした。
「確かにさ、俺は頼りないところはあるとは思うんだけどもね」
「そうね」
「や、やっぱりそう思ってたの?」
「でもね、そういうもんじゃないかな、一生懸命やってるところはとってもいいと思うわ」
「…うん、ありがと」
おおっと効果は抜群だ。
「耳は痒いの?」
「左がね、お風呂に長く入るとね、次の日は必ず痒くなるんだよね」
「まあ、あれだけ出れば、痒くもなるわ」
「そんなにとれるの?」
「いつもの倍ぐらいはとれるんじゃないかしらね、痛くはないわよね?」
「痛くはない、とっても気持ちいい、たくさん耳かきされたくなるぐらい」
「たくさんは痛くなるわよ」
「なんかさ、くすぐったいんだけど、くすぐられていたい感じ」
耳かきはMな快楽であります。
「耳かきしてる方からすると、掃除しやすいと思うのよね」
「どの辺が?」
「おとなしくしてる、動かないから、とりやすいかな、あっでも」
「でも何さ」
「太ももを撫でてくるのはちょっと…」
おとなしくしてる代わり、太ももを撫でてる。
「あれが落ち着くんだよ」
だそうです。
「とりあえず先に耳かきしちゃいましょうか」
「はい、お願いします」
耳の縁を耳かきでコリコリと掃除をすると、白い垢が綺麗に剥げたのである。
これは中を掃除しなくてはいけない。
「おとなしくしてるのよ」
「うん」
そういって太ももを撫でながら待っている、まあ、これも途中睡魔に襲われてくると手が止まりだす。
今日はとても暑かった。
それもあってか、耳かきが終わったあと、ウエットティッシュで耳を拭いてあげようと思った、さっぱりするに違いない。
でも先に耳の中をきちんとしなければ。
もう何度もこの耳は掃除をしてるので、大まかな形と言うのはわかっている。
だいたいこの辺と狙いをつけて、探っていくと。
コロっ
音がした、音がしたので確認するため、耳かきを外に出してみると、固くなって、色が変わった耳垢がさじの上に乗ってるではないか。
トントン
白いティッシュの上に置くと、その存在感がよくわかる、大きい、そして飴色の艶がある。
たぶんこれより奥の方にもっとガサガサとした固まりがこびりついているに違いない。
それをすくってみたい…
もう彼は膝の上で手が止まって、呼吸が寝息に近づいているではないか。
コリコリ…
そこを、奥の、細い耳かきではないと触れることが出来ない場所を狙って、耳掃除をするので。
ビクッ
気持ちよさに目がカッ!と開く。
「あら、痛かった?」
痛いはずがないよの言葉がでないで、口をパクパクとさせる。
つ~
彼女の指が彼の耳の縁をなぞる。
ぎゅ~
そして、そこでツボを押してきた。
痛気持ちいい。
「ちょっと疲れているんじゃないの?」
「かもしれない」
「体には気を付けなさいよ、あなたは結構無茶するし」
「ごめんなさい」
いけると思って限界越えちゃうタイプ。
「マッサージを覚えようかなっておもったけど、マッサージの方はあなたの方が上手いものね」
「部活で覚えました」
「足のむくみがスッキリするもんね」
「これを覚えないと、きつい練習と勉強を両立できないって言われたからね」
「やっぱり強豪校は違うね」
「13才でさ、プロになるか、決めなきゃならないって、結構スゴい世界だよね」
「あなたはどうしたかったの?」
「そうだな…いってもよかったかなって今は思う、たださ」
「たださ?」
「君と会う機会がなくなっていたと思うので、それは嫌だなって」
「それでもどっかで会えたんじゃないの?」
なんてイタズラっぽくいうのだが。
「会えたらいいねじゃないやだよ」
「じゃあ、会いに来てよ」
「…はい」
たぶん顔は真っ赤になってるんだと思う。
「耳かき」
「うん?」
「続きしてもいい?」
「うん、して、っていうか、耳汚くない?」
「そういうもんでしょ、耳掃除って」
「やっぱりさ、汚い耳って嫌かなって」
「私は耳掃除好きだからな、なんかこう…綺麗になっていくというか、甘えられて嬉しいのね」
「これからも精一杯甘えます」
「そこまではいいわよ」
「えっ、なんでさ、甘えるよ、これからもたくさん」
「猫じゃないんだから」
「先日は猫になりたいと心から思いました」
「えっ、なんでよ」
だっこされて、しっかりと胸の感触が当たる位置にその猫はおりました。
(そこは俺の位置だ!)
「なんかあの猫って男の人嫌いなのよね、周りの猫もみんなメスばっかだし」
「嫁が二匹いる猫ならばそちらの方にいけばいいのです」
訳 こっちくんな。
「猫に嫉妬してどうするのさ」
「するよ、とってもするよ、俺だってすりよって、ゴロゴロしたいもの」
「十分してる気がするんだけど」
「足りない」
「はいはい、じゃあ、右耳からごっそりとれたので、次は左耳します」
「頼むよ!」
先日彼女にマッサージをしました、足が浮腫んで辛そうにしてたからです。
「まあ、このマッサージは部活やっている子供にしてあげる親のマッサージでもあるんだよね、子供だと不調が自分でわかりにくいから」
「でも上手よ、あなたはいいお父さんになるわよ」
なんて言われたら。
(どうなるかわからないけど、夢とかは見ちゃっていいよね)
少しこれからのことを夢見てしまいました。




