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いや、まぁ、そのだ‥な

「お前の耳は俺のもの」

2013年2月9日、ピクシブ公開。

「いいか!」

 同級生なんだか、彼氏なんだかわからない男は、私の家に来て、いきなりこういった。

 「俺の耳を掃除するか、お前の耳を掃除されるか、どっちかだ!」

 そんな事を突然言い出した。

 「あの~守田さん」

 「なんだ(そんな他人行儀に)」

 「今、私たちは何をしてますか?」

 「ゲームだな」

 格ゲーしてました。

 「なんで耳かきなのでしょう?」

 「俺がしたいからだ!」

 何という暴君。

 「意味がわかりません」

 「俺は耳かきをされたい、しかし、様々な事情、例えば真実まみが耳かきが下手だったり、したくないのを考慮して、第二の案、逆に俺が真実の耳を掃除するという選択肢を思いついたわけだ」

 わかったと思いますが、守田くんは、そこそこ格好いいんですが、こんな調子なので、前につき合っていた彼女二人ほどいたらしいのですが、向こうから別れたらしいのです。

 「はぁ…」

 「さあ、どっちにする?」

 「いえ、どっちと言われても、困りますよ」

 「今、俺の耳かきに対する炎を消せやしないぞ」

 友達からは良く守田くんと遊べるよね、私には無理と言われてます。

 「え~」

 「耳かきはされたことはあるか?」

 「ないですよ」

 「普段は自分でか?」

 「うん、そう」

 ポン

 大げさに肩を叩くと。

 「まずは耳を見せたまえ、それから俺が判断してやる」

 「いやいや」

 「なんだ、照れているのか?まあ、わかる、同級生に耳の中を、しかも掃除する前を見られるのは恥ずかしいからな」

 「男だったら、よくさ、耳かきセットのカットとかあるじゃない?」

 「あるな」

 「そこに行けば」

 「いや、実は行ってきたんだ」

 しかし、耳かきが上手ではない人に当たりました。

 「それでどうもな、耳かきをもう一回されたくなった、しかし、耳の中はきれいかもしれない、そうすると、耳かきをされても、満足しない」

 そこでだ!

 「真実の出番だ!」

 「そこで私の出番なのかはわからない!」

 「耳かきはいいぞ、ストレス解消になるし、疲労回復にも効果ある」

 「そんな事聞いたことないよ」

 「俺がそうなんだよ」

 「他の友達にしなよ」

 「男の耳を掃除して楽しいと思うか?」

 「それはわからないけど」

 「がっかりだな、お前ならやらせてくれると思ったのに…」

 「守田くんは、相変わらず自分で決めて、騒いだり、諦めたりするな」

 思ってても口に出ない事が、言いやすい仲ではある。

 「お前さ、前に好きだった、あいつが耳かきしてほしいって、言ってきたらどうする?」

 「え~どうしようかな」

 表情が明らかに優しくなったので。守田は嫉妬した。

 「前の男を忘れられないのはわかるけどよ、もういねぇじゃないな」

 「傷をえぐるな」

 好きだと言う前に、向こうに彼女ができて、そしてすぐ別れた。しかも相手が真実の後輩で、後輩の口から。

 「私、彼氏ができたんです」

 と聞いた。

 「まあ、私はあの人にとっては、どうだっていい人間だったってことよね」

 「それは俺にはわからねぇけどな、俺だったら、そういう付き合い方はしねぇ」

 「守田くんは大丈夫、本気出さなきゃモテるよ」

 本気出すと、この調子で、彼女は付き合いきれないと距離を置いてわかれるらしい。

 「猫かぶってろっていうのかよ」

 「好きな相手にはある程度は必要なんじゃないの?」

 「まあ、女だから、男と同じような、扱いじゃダメだとは思うけどよ」

 「まあね、部活で後輩に叫ぶ鬼キャプテンぶりは出しちゃダメだね、まあ、でも叫んでいる理由は怠惰を注意しているだからいいんだろうけどさ、ようストレスたまらないね」

 「俺と同じようにはいかないって、先にわかっているからな」

 「えらい、えらい、それがわからない人、たくさんいるよ」

 何故か、守田はじっと真実のかおをみる。

 「あのさ」

 「何?」

 「耳かき嫌なら、膝枕してくれないか?」

 「疲れてるの?」

 「まあ、そんなところだな」

 「変なことしない?」

 「…」

 もう虫は騒いでいるようだ。

 「嫌われるのイヤだからしない」 

 「ではよろしい!耳かきは自信がないので、耳かきでいいかね?」

 「…うん」

 あの威勢の良さが、どこかに引っ込んでしまったようだ。そんな時は可愛いなと思ってしまう。

 「では耳かきをしますが、外側から掃除した方がいいのかな、私は自分でする時は中からするんだけど、落ちそうだしな、じゃあ、あんまり寝心地いいとは思わないが、ここに寝ておくれよ」

 守田は目が点になっている。

 「どうしたの?自分から言い出したのに」

 「いや、まあ、そのだ…な」

 「もう!」

 真実は守田が座っているそばまで近づいてきた。

 サワ!

 自分の耳に、真実が触っているのがわかった。

 「あんまり汚くない気がする、動かないでよ」

 そういって、固まってしまった守田の耳の縁をきれいにする。

 「綺麗に見えても、意外と汚いもんなんだな」

 綿棒を走らせてみた感想。

 「自分で自分の耳を掃除するけど、結構人の耳は怖いものだね」

 「そうだな」

 いつもより距離は近いけど、耳掃除されているために、緊張で、手をぐっと握りしめている。

 「それでは耳の中に参りますが、あまり深い所はやりませんよ、怖いからね、知ってる?椎名さんさ、中耳炎になった話してくれたんだけど、怖かった」

 手術までした話を克明に話してくれた。

 「椎名さんか、あの人、そういう話を所かまわずするもんな」

 「それね、私も他の人にいわれてわかった、あんなものなのかなって思った」

 「ご飯時の話じゃねえよ」

 ご飯時に中耳炎の手術を部分麻酔でしましたの話などをされました。

 「聞かなきゃならないのかなって思ったんだけど、そんなことなかったんだね」

 「そうだな」

 ばり

 明らかに音が違う所があったので、その箇所を何回か、動かすが、取れない。

 「耳かきの方がいいのかな?」

 不意に守田が用意した耳かきを使うことになった。

 パリィ!

 「おぉ!大きい」

 サジに大きい垢が乗っていた。

 「これは燃えますな」

 また綿棒持ち替えて、音が違ったら、耳かきでそこを掃除する。

 「意外と、耳かき出来たけど、痛くなかった?」

 「いや、それは大丈夫」

 「そう、それは良かった」

 「後さ」

 「何?」

 「あれやって」

 「あれ?」

 「耳に息をかけて」

 「そんなのやるの?」

 「やってよ」

 フ~

 「違うよ」

 「何だよ」

 「耳に息をかけるっていうのはだな」

 守田の実演

 ビク!

 耳の穴の中に吐息が入ってきた。鳥肌みたいなものがたった。

 「こういうことを言うんだよっておい、どうした?」

 「いえ、何でもありません」

 「ふ~ん」

 まだ守田は真実の身に何が起こったのかは知らない、ただ本当のことを知ったら、守田は。

 

 「くそ、惜しかった」

 というはずだ。  


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